かつて三井三池炭鉱を擁し、石炭というエネルギー資源によって近代日本の発展を支える重要拠点だった大牟田市。産業構造が転換するなかで、いかにして未来ある街づくりをしていくのか。大牟田市長の古賀道雄氏に、現状と課題、そしてこれからの政策について話を聞いた。
<コンテナ量増加と課題>
――三池港のポテンシャルは現在、最大限に活かせているのでしょうか。
古賀道雄市長 ここは人工の港で、團琢磨さんが設計した防砂堤があります。つまり、砂が入りやすいなど、いろいろと制限があるのです。また深さが10mしかないという点も、大きな船が入りにくい要因となっています。干満差もありますから、閘門を設けて満ち潮の状態をつくり出すなど、100年前の仕組みが今も残っています。港を活用するといっても、コンテナ船は1万2,000トン級程度までです。
一方で、コンテナ量は増えています。週2便、韓国の釜山港を拠点とした航路を開設したことが要因にあります。大川市で扱う木工家具を、中国、ベトナムなどで生産して輸入して運ぶのですが、これまで大川の業者さんは博多港や伊万里港を使っていました。それが、有明海沿岸道路が最近できたおかげで運搬が容易になり、三池港を使うようになったのです。これが非常に大きかったですね。
課題としては、地元業者さんからの要望もありますが、中国直行航路の開設です。やはり、中国向け製品が多いらしいですから。実現は可能ですが、そのためには港湾開発にもう少し投資しなければ現状では難しいです。三池港は福岡県の管轄ですから、お願いはしているところです。
三池炭鉱は日本の近代化を支えたという栄光の歴史もありますが、その裏には苦難の歴史もあります。太平洋戦争時の強制労働、三池争議、炭じん爆発事故などです。そういった歴史もひっくるめて、我々としては教訓として後世に引き継いでいきたいと思います。
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<プロフィール>
古賀 道雄(こが・みちお)
1943年生まれ。66年3月早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業後、4月三井金属鉱業(株)入社。89年10月、同社三池事務所所長、91年5月、大牟田市議会議員初当選。2002年9月、三井金属鉱業退職。03年5月、大牟田市議会議員を勇退し、同年12月大牟田市長に就任。3選して現在に至る。
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