猛暑には夏バテを防ぎ、冬は身体を温める。さらに、二日酔いにも効く。韓国の食の万能選手が「ソルロンタン」だ。
ソルロンタンとは、牛の肉、骨、内蔵を長時間煮込んで作るスープ料理で、骨髄までが煮込んで出されるためミルク色をしている。煮込む過程で、ショウガ、ネギ、ニンニクなどを加え、肉の臭みが消される。ひと口食べると、牛の旨味が口中に広がる...。食べる人の好みで塩、胡椒、唐辛子などを加えて食べるが、もともとは、味付けがほとんど行われないため、牛が持つ素材の風味を楽しむことができる。
もともと漢字で「先農湯(豊作を祈願した先農祭で牛を追って畑を耕し、その祭りに使った牛を大きな鍋で煮込んで振る舞ったのが始まりという説も)」と書くが、時代とともに発音がなまって、ソルロンタンと呼ばれるようになったと言われる。
ある行政担当の韓国人通訳は「ソルロンタンを日本人に紹介すると、初めは反応はよくないんです。肉や内蔵を長時間煮込んで作ると聞いて生臭さをイメージするのでしょう。見かけも乳白色で日本人には見慣れないスープの色。しかし、食べてみると表情がガラリと変わります。ひと口食べて味の深さに虜になる日本人も少なくないですよ」と話す。
日本の多くの韓国料理店でソルロンタンは食べることができる。韓国では、家庭よりも専門店や一般的な食堂で出されるケースが多い。玉ねぎや人参などの野菜、牛からにじみ出た栄養が豊富なため「夏バテ予防」に、また、参鶏湯(サンゲタン)同様「冬に身体を温めるため」飲まれることもあり、さらには、あっさりして胃に負担をかけないことから「二日酔い覚まし」としても食されるという。元気の源として「朝食」から食べる家庭も少なくない。
ソルロンタンそのものに栄養が豊富なため「ソルロンタン、キムチ、ご飯」の3種類だけで「スタミナ補給には充分な組み合わせ」と言われる。記録的な猛暑、食が進まず夏バテ気味という方、韓国式の「夏バテ対策」を取り入れてみてはいかがだろうか?
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