福岡市東区多の津に本社を構える(株)ヒデトレーディング(鈴木英夫代表)。1993年の創業以来、同社は若者向けの帽子やバッグ、ベルトなど服飾雑貨の製造卸販売業を展開している。中国の提携工場で生産を続けていたが、人件費の高騰やチャイナリスクを考慮し、2011年にベトナムのホーチミンに自社工場を建設。事業拡大の道のりを着実に進めている。250名のベトナム人従業員を束ねる、同社取締役副社長であり、ベトナム生産工場「HIDE co.,ltd.」の代表である鈴木健二氏に、進出からこれまでの話を聞いた。
――最初から家業を継がれるつもりだったのですか。
鈴木健二氏(以下、鈴木) 私はもともと車が好きで、就職は自動車整備の道を考えていましたが、業界の内情を知り、方向を急転換しました。父親である会長に頭を下げて入社させてもらい、1年半は他社でアパレルの修業を積み、東京支社へ赴任しました。その後7年は東京で働いていました。頼み込んで入社させてもらった分、失敗は許されないので、毎日がむしゃらにやってきました。
そんなとき、突然ベトナム行きを告げられたのです。営業経験はありましたが、会社を立ち上げた経験はありませんでした。正直、ベトナム行きの話を聞いたときは、行くのが嫌でした。でも「お前しかいない」と言われ、やむなく承諾しました。
――進出先をベトナムに決定した理由はなんですか。
鈴木 ベトナムに決めたのは会長の考えです。カンボジアなど他にも労働力の安い国はありますが、ベトナム以上にインフラが整っていません。大手なら、資材をまとめて大型コンテナで送りつけて製造することもできますが、中小企業では難しい。そこそこのインフラ、そこそこの労働賃金。これが決め手になりました。
――工場設立当時の様子を聞かせてください。
鈴木 赴任先には強力なパートナーがいて、工場建設や設備の手配などバックアップしてくれました。工場ができてからは本社からの受注を受け、生産ラインに乗せていきました。
ただ、操業1年目は経営が本当に苦しく、工員との衝突もしばしば起きました。本社に言えば、資金を提供してくれるかとも思いましたが、本社から「自分たちだけでやってみろ」と言われていたので、最初に借りた資金だけでどうにかやりくりしようと。あの頃は、支払日が近づくたびに朝起きるのが嫌でしたね。
受注先は多くが日本の本社からですが、操業からすぐは受注量に対して工員が多すぎて、バランスが悪かったのです。本社が中国に発注している分もあり、ベトナムへのシフトがなかなか進まず、悪戦苦闘していました。1年を経過した頃からデータが蓄積され、数量の調整もだんだんうまくいくようになっていきました。立ち上げから2年半が経過した現在は、生産量も順調に増え、約250名のベトナム人従業員を雇用しています。
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<COMPANY INFORMATION>
(株)ヒデトレーディング
本社所在地:福岡市東区多の津1-11-11
資本金:1,000万円
設 立:1993年5月
TEL:092-629-8850
FAX:092-629-8851
URL:http://www.hides.co.jp/index.html
ベトナム生産工場 HIDE co.,ltd.
133/5 Le Van Tho street, ward 11, Go Vap district - Ho Chi Minh city Vietnam
TEL:(84)08-6252-4401~3
FAX: 08-6252-4404
URL:http://www.hidevina.com/
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