福岡県と大牟田市の橋渡し役として活躍する大橋克己県議。幼少期より街の移り変わりを見るなかで、政治家として市の現状をどう把握し、問題を解決しようとしているのか。
<三池港をどう活かすか>
――大牟田市の経済にとって、今後の課題とは。
大橋克己県議 筑豊とともに石炭の街として有名だった大牟田市ですが、沿岸部という立地のためコンビナートも発展してきました。炭鉱が閉山したあとも、三井化学などの大企業が地域経済を支えています。そうした産業を派生させていたおかげで、ほかの産炭地域で一ケタ人口が減ったような状況でも、大牟田市は何とかピーク時の約21万人から現在は約12万人と落ち幅を抑えることができています。
先人は先見性があり、そこはプライドを持って良いでしょう。石炭産業が華やかなりしころ、それだけで大丈夫だと考えていたとしたら、次はなかったと思います。
福岡県との関係でいえば、福岡市以外はどの街も厳しい状況です。「手を差し伸べてほしい」とリクエストする自治体も多く、大牟田市だけスポットを当ててもらうというのは期待薄でしょう。むしろ、大牟田市はスポット的に「この分野で頑張っていくのだ」と、県に逆提案しなければなりません。私は県会議員として、その橋渡しの役割を果たしていきたいと思います。
今回、「グリーンアジア国際戦略総合特区」に電気化学工業さんが指定されたわけですが、それで終わってしまうと一企業の盛り上がりだけになってしまいます。国が地域指定しているわけですから、これがもっと広がりを持つよう大牟田市もさらに活用してほしいですね。
稼働資産である三池港については、その機能を維持しながら、かつ近代化産業遺産群として残していくという作業は、かなり難しいものがあります。機能を発揮するという点では、とくに中国との定期航路ができれば、現在は博多港や伊万里港を使っている大牟田市の大企業も、貨物を三池港から出すことができるようになります。
有明圏という視点でも、熊本県の荒尾市や玉名市などの企業がまだまだ三池港を活用していないようです。話を聞くと、やはり中国との定期便を要望されます。博多港や伊万里港では、そこまでの輸送コストがどうしてもかかってしまいますから本当は三池港のほうが良いのですが、条件が整っていないのが現状です。
<プロフィール>
大橋 克己(おおはし・かつみ)
1967年9月生まれ。86年福岡県立三池高校、92年熊本大学文学部を卒業後、明治製菓(株)入社。2002年同社を退社し、03年に大牟田市議会議員に当選。2期務めたのち、11年4月に福岡県議会議員に当選し、現在に至る。
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