<東美・佐々木社長を参考人招致~県議会委員会>
長崎県最大級の水産直売所、長崎漁港がんばランドのリニューアルオープン(2期事業)をめぐり、長崎県の行政が民間企業の代表者に歪められた疑いが浮上、今年6月には、地場スーパー(株)東美の佐々木達也社長が参考人として長崎県議会に呼ばれる事態に発展した。
県議会・県政改革特別委員会が、がんばランドへの占用許可をめぐって、長崎県の意思決定、政策判断に透明性、合理性、客観性があったかどうか、集中審理したのである。
がんばランドは、長崎漁港(三重地区)の漁港関連施設用地にあり、県から占用許可を得て、施設を設置し営業している。2期店舗は売り場面積約1,700平方メートル。2013年3月6日にリニューアルオープンしたところ、一般食品・一般商品の売場面積を全体の10%程度にしなければいけないと県が行政指導をして、売場中央の陳列棚から商品が撤去され、約300人の雇用が維持できない瀬戸際に立たされている。
<東美・佐々木社長、副知事にも要望>
長崎県と東美の佐々木社長との協議は4回に及ぶ。がんばランドの当事者ではない一民間企業と協議を繰り返したこと自体が不自然だ。
東美は、がんばランドの店舗から約500メートルしか離れていないところにスーパー「STAY」を展開する。がんばランドがリニューアルオープンすると、お客が激減する懸念があり、県の占用許可に対し「一坪たりとも認められない」と反対していた。第1回目の2012年4月27日の協議で、佐々木社長が「副知事でダメならそれ以上の手段を使う。全知全霊をかけて反対する」と恫喝じみた言動を弄したことが、県の作成した協議議事録に生々しく記されている。「副知事でダメなら」という発言は、「副知事という手段」はすでに使ったことを意味する。
県議会・県政改革特別委員会で、田中桂之助副知事も、佐々木社長も、その事実を認めた。
佐々木社長 「田中副知事には、(2012年)3月26日にアポイントを取りまして、私どもの要望をお願いさせていただいた」
田中副知事 「(2012年)3月の時点で私に参考人(編注・佐々木社長のこと)からご要望がございました」、「ご要望があったことは、水産部に伝えておりました」
<東美・佐々木社長との協議 副知事も知っていた>
問題は、さらにその先にある。
漁港関連施設用地の占用許可をがんばランドに出す前に、県が決定前の方針を含めてその経過や内容を当事者でもない部外者、一民間企業の佐々木社長に漏えいした(2012年6月22日)ことは、すでに連載(3)で指摘した。地方公務員法は「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」(第34条)と定めている。
田中副知事は県議会・県政改革特別委員会で、こう答えている。
「(水産部長らが佐々木社長に)お会いしたという報告は受けています」、「(4回の協議議事録の)内容は見ております」、「(2012年)6月22日に(水産部が佐々木社長に)報告したことは覚えています」、「ご要望があったことを水産部にも伝えていたので、水産部が最終的な結果を報告に行ったと思っています」、「私が指示したということではありませんが、経過からして、そういうことをすべきだということでうかがったと思っています」
副知事まで、水産部と東美・佐々木社長との協議内容を詳細に把握しており、承認を与えていたことになる。しかも、協議内容を中村法道知事も知っていたかどうか問われ、田中副知事は「必要に応じて報告していたかと思います」と答弁している。
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