<東美に示された「25%方針」>
県が一般食品・生活用品の売場面積を全体の「30%未満」まで認める方針を持ち、がんばランドに方針を記した書面(2012年3月14日付)を交付したうえ、一般食品・生活用品を「28.8%」とする企画案を内諾していた(連載(2)参照)が、県には、「25%以下」とする方針があった。
2012年4月24日、漁港漁場課作成の「漁港関連施設用地占用の取扱いについて」という文書に明記されていて、「これまでの経過を踏まえ、平成24年6月長崎県議会農水経済委員会において、『漁港関連施設用地占用の取扱いに関する県の考え方』を説明後、許可するものとする」と書かれている。奇妙なことに、この「25%方針」は、がんばランド側には一切伝えられず、逆に、県の議会答弁(下山満寛水産部長)によると、東美・佐々木達也社長に説明・提案したことが明らかになっている。
がんばランド側には、12年3月14日の内諾後、県から特に連絡はなく、県から示された30%方針に基づいて2期事業の工事を進めていた。一般食品・生活用品売場の縮小が求められたのは、同年5月22日になってからだ。
占用許可当時の経過を追うと、地方公務員法の守秘義務違反の情報漏えい以外に、重大な問題が浮き彫りになる。ここで、経過をまとめてみよう。
【2012年】(肩書きはいずれも当時)
3月1日 東美・佐々木社長が野口水産部長に要望
3月14日 県が「30%」方針(漁港漁場課「『長崎漁港がんばランド』2期工事の企画について」)に基づき、がんばランドの企画(一般食品・生活用品28・8%)を内諾
3月26日 佐々木社長が田中副知事に要望
4月24日 県が「25%方針」(漁港漁場課「漁港関連施設用地占用の取扱いについて」)※がんばランド側に提示なし
4月27日 荒川水産部長らが佐々木社長と協議し、「25%方針」を提案
5月21日 県知事がスーパー不可の最終結論
5月22日 県がスーパー不可をがんばランドに伝達
6月22日 占用許可。下山政策監が佐々木社長に「10%程度とし、拡張させない」などと説明
<知事NGの「25%方針」を東美に説明>
県は、田中桂之助副知事らが、「30%方針も25%方針も中村法道知事が納得しなかった」と議会に説明している。だから、一般食品・生活用品売場の縮小を求めたのだという。
しかし、水産部長らは常識では考えられない行動に出ている。知事がNGと言った方針を、わざわざ東美の佐々木社長に説明・提案し、"これでどうでしょうか"と御用伺いに参上したのである(4月27日)。佐々木社長は、「水産部長、副知事で駄目ならそれ以上の手段を使う。全知全霊をかけて反対する」と、県の提案を一蹴したことが、県作成の「協議結果報告」に記録されている。
知事がNGを出した方針を佐々木社長に提案する意味がない。説明・提案したというのがウソなのか、知事が納得しなかったというのがウソなのか、どちらかが事実ではないと考えるしかない。知事は本当に30%方針、25%方針にNGを出したのか。反対していたのは、本当は誰なのか、疑問がふくらむ。
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