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輝く九州の女性たち

インドネシアでのマングローブ植林こそが天職(2)~(株)ワイエルインベスト 川添香織氏
輝く九州の女性たち
2013年8月29日 07:00

 インドネシア政府が運営するシドアルジョ海洋水産専門学校(Akademi Perikanan Sidoarjo、以下、APS)。その卒業式に招待された(株)ワイエルインベスト(本社:福岡市中央区、山本亮社長)の社員のひとり、川添香織氏は、持ち前の意志の強さと実行力で、明るく朗らかにインドネシアでの環境保全事業に取り組んでいる。一度は国内で福祉職に着く機会を得ながらも、より広く険しい世界で人々を支える道を選んだ。しかし同氏の笑顔からは、苦労の跡形すら感じられない。今回の卒業式参列に同行した記者が、その笑顔の理由に迫った。

 ――川添さんはもともと環境保全事業ではなく、福祉系の学校で理学療法士の勉強をされていたそうですね。そして、卒業を1年後に控えた頃、作業療法士の方が向いていると思って悩んだとお聞きしています。

 川添香織氏(以下、川添) 同じ福祉業界であれば、どちらでも良いと考えるのが普通なのでしょうね。ただ、授業を受けているうちに、両方の違いを認識し、作業療法士の方が、私に向いていると感じるようになったのです。「編入、それがだめなら再受験を」と考えたのですが、先生から、「現場でいくらでも経験を積めるので、今は理学療法士の資格取得に専念したほうがいい」と励まされ、理学療法学科のまま卒業しました。再受験しようかとも思いましたが、本当の勉強は社会に出て、実践を通じて身につけるものなのだ、と思いましたね。

 ――再受験を考えるほど、作業療法士に惹かれたのはなぜですか。

 川添 理学療法士は、体の基本的な機能の回復をお手伝いするものです。例えば、骨折した脚が、歩いたり、階段を昇ったりという基本的な動作ができるよう療法を行なう役割を担います。これに比べ作業療法士は、もっと細かい動作の回復を目指します。食事や編み物など、日常生活に密着した作業が行なえるようお手伝いをします。もともと私自身、細かい手作業が好き、ということもありましたが、日常的な作業や精神的なケアを行ないながら、人の心にきちんと向き合えるところが、自分に向いていると思いました。

 ――今、マングローブ植林によって、インドネシアの人々の生活の向上と自立をサポートしていらっしゃいますが、その原点がここにあるような気がします。作業療法士の方が、人間の暮らしや教育、心に向き合うことに近い感じがします。最終的に違う事業に就いたように見えますが、実は、繋がっているようです。

すくすくと育つマングローブ 川添 実は、福祉系の仕事に就きたいという前に、「海外に行きたい」という気持ちがあったんです。TVなどを観て、子どものころから憧れていました。自分が知らない場所に行きたいと思うぐらいの、漠然としたものでしたけれどね。「絶対に行く!」と決めたのは中学の頃からでしょうか。高校生になって、国境なき医師団に興味を持ち、医師になる自信はないが、医療系であれば海外支援しやすいだろうと思うようになりました。そして看護師と、療法士のようなリハビリ系の、どちらが良いだろうと考えた末、今思うとおかしいんですが、リハビリ系の方が、自分の体一つあれば仕事ができそうだし、物資が少ない発展途上国に行っても、働きやすいかな、などと勝手に思いこんでしまって...(笑)。

 ――では、まずは、海外に行くという気持ちありき、だったのですね。

 川添 そうです。しかし、実習を経て理学療養士が求めていたものと違うのがわかり、このまま仕事に就いていいものか悩みました。そんなとき、ワイエルインベストがインドネシアでマングローブ植林事業に真剣に取り組んでいることを知り、「リハビリにこだわらなくても海外に行く方法があった!」と気づかされたのです。
 当時、ワイエルインベストは求人募集していなかったので、アルバイトして、資金を貯めながら入社の機会を待ちました。次の年に入社できたのは幸運でした。

 ――ご両親が心配されたのではないですか?

 川添 実は無言実行で強行しまして...。とくに父が、私の就職を楽しみにしていましたからね。安心させたくて、就職活動を行ない内定もいただきました。学費を出してもらった以上、やるべきことはやっておかねばと思いましたから。しかし、内定の最終決定に必要な書類を出し忘れた振りをした時点で、母には見抜かれました。もう、「私を信じて1年間だけ黙って見ていて」というしかありませんでしたね。その代わり、入社が叶った後は、心配させないように細やかに連絡をとって、何でも報告しました。

 ――だから今は安心して見守ってくださっているのですね。念願の入社を果し、まず取り組まれたことは何ですか。

kawazoe_1.jpg 川添 とにかく、「私にできることなら何でもします!」と言って、仕事を選ばす取り組みましたよ。社員の方々は、それぞれ専門的な技術や経験を持っていらっしゃるのに対し、私ひとり何の知識も経験もなく英語も喋れない状態でしたから。インドネシア要員として採用されたので、とにかく夢中でインドネシアの現場を見てレポートを書き、写真を撮り、経理も行ないました。

 ――インドネシアの自然環境のなかで長期間過ごすこと自体、そう簡単にできるものではないでしょう。

 川添 意外と慣れるものですよ(笑)そういえば、担当したものといえば、「地球にマングローブを!!プロジェクト~子どもたちに贈る未来の地球~」というブログがあります。入社当時、弊社は知名度もなく、活動も知られていなくて、マングローブを知る人自体少ない状態でした。弊社の取り組み、それも独自性のあるものを公表していかねばと、考え、苗を植えた後の生育の記録まで行なって発信しようと言うことになりました。そこで、苗を植えた後も管理の手を抜くことなく育てていることがわかるよう、毎年の成長を写真に撮り、ブログで一般公開する、その担当を引き受けました。
 そうやって、私にできることをすべて引き受けているうちに、少しずつインドネシアのことを理解できるようになり、今に至っています。今、経産省からの業務委託を受け、定期的に申請書や報告書なども提出していますが、その作成も任されてもらえるようになりました。

 ――それはすごいですね!

川添 何の特技もありませんが、通っている分、現場のことは熟知していますからね(笑)。報告書などはインドネシアをわかっていないと書けない書類ですから、適任だと思ってもらえたのだと思います。でも一所懸命に調べて書きました。上司や、プロジェクトで協力し合っている専門家の方々に教えを乞いながらやっています。そういう、周りの援助があるからこそ、できているのです。私自身が、特別たいしたことをしているわけではないのですよ。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

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