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長崎県の行政指導を暴く(6)~長崎漁港がんばランドに営業妨害?
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2013年8月29日 14:55

<東美の要望で、行政判断はゆがめられたのか>
 長崎漁港がんばランドをめぐって、長崎県水産部長ら幹部が当事者でもない地場スーパー(株)東美の佐々木達也社長と協議を重ね、決定前の方針を漏洩していたのはなぜか。しかも、知事がNGを出した方針(一般食品・生活用品の売場面積を全体の25%とする方針)を県がわざわざ説明・提案するという不可解な行動が含まれている。

 県は、東美・佐々木社長と協議した理由を「(占用許可に反対という)ご要望があったので、水産部が最終的な結果を報告に行った」とか「経過からして、そういうことをすべきだということでうかがった」と説明し、東美の要望によって県の判断がゆがめられたことはないとしている。しかし、どういう経過なのか、歯切れが悪い。

<金子議員「しっかりやれ」とお言葉>
ganbaland.jpg 「25%方針」は2012年4月27日、県から佐々木社長に示されたとされる。がんばランド2期事業への占用許可に全知全霊をかけて反対していた佐々木社長は、「水産部長、副知事以上の手段」を使ったのだろうか。使わなかったとしても、佐々木社長は「副知事以上」の強力なコネクションを持っていた。そのコネクションがあるからこそ、副知事や水産部長に直談判に打って出られたことがうかがえる。

 「副知事以上」というのは、金子原二郎参院議員(前知事)とのただならぬ関係である。金子議員の長男と佐々木社長の娘が婚姻関係にあるだけでなく、金子議員が代表を務める「自由民主党長崎県参議院選挙区第1支部」は11年に東美から合計24万円の政治献金を受け取っている。
 金子議員は、長崎県議を皮切りに、衆院議員5期、長崎県知事1期を務めた後、2010年7月の参院議員選挙で参院議員に初当選。県行政のトップとは上下関係ではないが、長崎政界の"雲の上の存在"と言える。父は、農水大臣を務めた金子岩三氏だ。
 佐々木社長は、野口市太郎水産部長(当時)に会う前に、金子原二郎議員に会っている。何かのパーティで金子議員に対し「実は金子さん、こんなんで困ってますわ」と話したところ、金子議員は「自分に気にしないでいいからしっかりやってください」と述べたと、佐々木社長が県議会で明らかにしている。

 金子議員は、NET-IBの取材に対し、事務所を通じて、「がんばランド2期工事について、まったく関係していない」と回答し、県行政への働きかけを否定した。

<県水産部が特定の人物の意向を忖度?>
 がんばランドは、県が「水産業"6次産業化"の先駆的な取り組み」と位置づけている事業だ。金子議員ほどの大物が、そのようなプロジェクトに横やりを入れるとは考えにくい。
 一方、金子議員から「しっかりやれ」とのお言葉をもらえば、だれでも「虎の威を借る狐」よろしく、"オレの言うことがきけんのか"という気持ちになっても仕方がない。

 問題は、要望を受けた行政の手続きに合理性・客観性があったかどうかだ。
 占用許可は、振興局長の決裁で、副知事、知事に報告をあげるルートはない。水産部自身が12年6月議会で明言している。しかし、その時点ですでに知事に少なくとも2回以上報告をあげているにもかかわらず、その事実を県議会に隠していた。
 東美からの反対の要望を受けて協議を重ねていたことも問題が発覚して初めて県議会、県民に公にした。

 特定の人物の考えを忖度したり、不当な反対意見に与したりしては、行政の公平性は保てないし、法治国家ではなくなる。
 中村法道知事は、国営諫早湾干拓排水門の5年間常時開放を命じた確定判決に対しても、「開門阻止」の音頭を取り、三権分立に従わない態度を示している。諫早湾干拓事業は、金子岩三農水相時代に構想されたもので、金子原二郎前知事・参院議員と谷川弥一郎衆院銀の親族企業の入植が明らかになり、選考疑惑などが県議会百条委員会で取り上げられた。
 産学連携の薬品開発ベンチャー企業バイオラボでは、県が1億円を出資・補助したが、経営破たん。公費を投入した県の事前チェックの甘さが指摘された。バイオラボ創設には、金子知事(当時)の強い意向が働いたとされる。
 これらの事例をみると、長崎県政には、法と制度をないがしろにする体質が生じているようにみえる。

 法と制度に則るべき行政が、特定の人物の意向を忖度して、行政ルールをねじまげていては、行政の公平性は保てない。長崎県は、地産地消と県水産業の振興、地元地域の活性化という大目的に沿った"公平な行政"に舵を戻すべきだ。

(了)
【山本 弘之】

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