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自立する地域社会

にぎわいを取り戻しながら地域コミュニティ再生目指す~大牟田商工会議所専務理事・服部和典氏(後)
自立する地域社会
2013年8月30日 07:00

 2012年度で創立80周年を迎えた大牟田商工会議所。民間企業の力をどう活かし、これからの大牟田市をつくり上げようとしているのか――。専務理事の服部和典氏に、現在の課題と今後の方針について、歴史を交えながら話をきいた。

<地域情報をどう拾い共有できるか>
 ――現在、行政を中心に近代化産業遺産群の世界遺産登録が進められています。商工会議所として、どのように関わられているのですか。

 服部和典氏 今年の春、この件について商工会議所として市長に要望を出しました。石炭産業が大牟田市をつくった礎になっています。その顕著な発展が、明治の産業発展期に団琢磨さんという人物の力も得て成し遂げられました。産業界からすれば、我々の世代が子孫に語り継いでいくことで、街に対する想いを持ち、産業を活性化させる次世代を育てていきたいと考えています。

 そのためには、ストーリー性を持った三池港などの一連の遺産は、大いに役に立つ財産だと思います。商工会議所としても、この件には積極的に関わっていきます。

 我々の年代になると、戦後復興の厳しい環境のなかで、1949年5月に当時の昭和天皇がヘッドランプをつけて炭鉱をご視察されました。そのとき多くの市民が歓迎し、私もそのなかにいましたが、やはり石炭と街の繁栄については大牟田市民もそれなりの感懐を持っています。それが、ふるさとを想う心につながるわけですから、私は単なる近代化産業遺産群としてだけではなく、大牟田の文化や心をはぐくむものに活用できると思っています。

 ――炭鉱には華々しい歴史の裏に、暗い歴史も並存しています。

hattori.jpg 服部 戦後、総労働対総資本の対決というかたちで、大牟田市民の心のなかにもずっと葛藤がありました。時代が過ぎていくなかで、皆が一緒になれる環境になってきましたが、以前は石炭産業の表と裏を語る場合、よほど慎重にものを考えなければなりませんでした。

 もっと次世代の人たちに大牟田市のことを知ってもらうには、そうした歴史の光と影の部分をしっかり見つめてもらうことが大事だと思います。

 ――毎年夏に開催される「大蛇山」の祭りが、大牟田市の文化を残していると思います。これはどのような歴史があるのでしょうか。

 服部 もともと、昔は夏祭りとして「炭都祭り」がありました。それと別に祇園「大蛇山」という祭りがあり、こちらは商売繁盛としての龍神様をまつる祭祀の側面もありました。さらに、かつて三池港周辺に「港まつり」があり、これら3つの祭りが1つになって現在のかたちができました。

 「おおむた『大蛇山』まつり振興会」というものがあり、市長が会長、商工会議所会頭など6名が副会長として、行政や市民を巻き込んだ活動をしています。実質的に運営を担っているのは青年会議所などになります。「大蛇山」にはそれぞれの地域に帰属している大蛇がありますので、それを中心に各地域でさらに細かく関わっています。

 現代は、各自治体がそれぞれの工夫を凝らし、地域間競争の時代に入っていると思います。我々はそのなかを勝ち抜かなければなりません。そのために、まずは地域情報を皆さんで共有しなければなりません。そのための情報発信も必要です。

 政策上必要な情報はあふれていますが、地域コミュニティから出される情報をどう拾い上げていくかがもっとも大事だと思います。そのためにも冒頭に申し上げたように、「地域コミュニティの形成」こそが、これからの大牟田市の活性化にとって欠かせないのです。

(了)
【聞き手、文・構成:大根田 康介】

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