<電力自由化へ先手>
東京都内では、立川市などで新電力への切り替えが始まっており、江戸川区では、区立小学校などの施設の約80%の電気に新電力を導入するなど、相次いで新電力と契約を結んでいる。
8月、中部電力が三菱商事から新電力のダイヤモンドパワーを買収。東京電力の管内である首都圏での企業向けの売電事業に乗り出すことを明らかにした。これまでは、9電力会社が地域での独占状態を崩すことはなかったが、10月からダイヤモンドパワーを買収した中部電力が首都圏での売電事業に乗り出すことで、大手電力会社同士が競争することになる。これまで、九州電力が中国電力のスーパーマーケットに販売した一件の例があったが、地域の枠を越えた自由化が本格的に幕を開けることになる。
16年をメドにした電力小売り自由化を見据えて、電力の自由競争が一歩進んだことになる。三越伊勢丹など企業単位で新電力と契約を結ぶケースも増えており、小売り全面自由化に向け、新電力の勢力と供給力の拡大が今後、ますます注目される。
<東京都、新電力との契約急増>
東京都では、新電力の市場でのシェアを3割まで高めることを目標に、率先してこの新電力と契約する動きを見せている。100万kWの大口ユーザーである東京都は、そのうちの10%にあたる約10万kW分を新電力に切り替える。
電力市場の自由化が進むきっかけとするために、猪瀬直樹知事が手腕を振るい、新電力への切り替えの動きを加速させた。東京都が持っている水道局、都立高校など新たに271施設の5万4,976kWにおいて、エネット、ダイヤモンドパワーなどの新電力と契約した。東京都は、新電力に切り替えることによって、東京電力と契約した場合と比べて、約1億9,000万円のコストダウンを見込んでいる。
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