セメントメーカーの各社が、セメント価格の値上げの交渉を本格化する。メーカーの各社は、1トンあたり1,000円前後の値上げを目標としている。10月1日の出荷分からの値上げを見込んでいる。
メーカーの主要顧客である生コンクリート業界の市況が好調であること、円安の影響による燃料費の高騰で輸送コストが増大していることが大きな要因である。「今回は、値上げを承認しなければならない状況である。理由は、近年セメントメーカーの各社は、製造工場の整理など経営合理化をすすめてきた。その結果生産力が低下して、大震災の特需を含めたセメントの需要に供給が追い付いていない。メーカー側も今回は、本気で交渉にきている」と九州地区の生コン業界関係者の談。
過去、毎年4月の値上げを表明してきたセメントメーカー各社。主要需要先の生コン業界の反発で、毎期棚上げに近い状態であったセメントの値上げが、今回は各社成就する公算が大きい。そのような中で生コン業界は、「今回のセメント価格の値上げで、生コン価格の正常化の大義名分ができた」(九州地区の生コン工場幹部)と肯定的にとらえている。対して「確かに現在の生コン市場は、好況であるが財務体質の改善の途上であり、セメントの値上げは受け入れられない」と反発の姿勢をとる福岡地区の生コン工場のコメント。生コン工場のさまざまな思惑が交錯する、今回のセメント価格の値上げの今後に注目である。
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