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福岡市・セアカゴケグモ対策、一斉駆除の方法は「模索中」
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2013年9月 4日 10:57

 福岡市の港湾地区およびその周辺で発見数が増えているセアカゴケグモ。いまだ効果的な駆除を行なえず、手をこまねいている実態が福岡市議会第2委員会で浮き彫りになった。

seakagokegumo1.jpg 3日、「セアカゴケグモが繁殖している人工島へのこども病院移転中止」を求める請願の審議において、市保健福祉局はセアカゴケグモ対策などの現状について報告した。なお、請願を出したのは、市民団体・博多湾会議の脇義重共同代表ほか852人。2012年12月17日に受理されてから約9カ月後。請願は審議の結果、不採択となった。

 保健福祉局の報告によると、12年の発見通報件数は139件、13年7月31日までに28件。市などによる調査・駆除の実施が発見通報の減少につながったと見られている。一方、駆除されたセアカゴケグモは、(1)市が数を把握し始めた12年9月3日から同年12月31日までに6,885匹。(2)13年1月1日から同年7月31日までに8,792匹。そのほとんどが東区で、うち同区のアイランドシティー(人工島)の分が(1)2,746匹、(2)2,785匹と、30~40%を占めている。このほか、東区以外の区でも発見されており、生息数の増加、生息地域の拡大が懸念されている。

 このような現状に対して今のところ保健福祉局は、「生態がよくわかっておらず、調査・研究を続け、効果的な駆除方法を模索中」と説明。生態系を守るため、大量のセアカゴケグモを一斉駆除する際、他の生物も殺す可能性が高い殺虫剤の散布といった方法を採ることができないという。

 市民への啓発を目的とした市のパンフレットやホームページでは、セアカゴケグモについて、「毒を持っているがおとなしく、ほとんど攻撃性はない」と説明しているが、幼児や高齢者が咬まれ、抗毒素血清が処置されなかった場合、死に至るケースもあり、発見時は十分な注意を要する。12年9月3日に86歳の女性が咬まれたケースでは、市が所持する抗毒素血清の使用期限切れが発覚。担当医の判断で使用し、幸い事なきを得た。未知の外来種であることからも生息数増加への不安は市民の間で高まっており、第2委員会の委員である市議から、「『今、研究中』では、市民の不安が大きくなる。適宜、市民へ説明すべき」との注文が付いた。

 また、現行の調査・駆除の体制に疑問符がつく。とくに発見数が多いアイランドシティーでは、中央公園の指定管理者、博多港ふ頭(株)、港湾局、東区などが分担して実施。博多港ふ頭の担当エリアについては港湾局を経由して保健福祉局に報告されるなど、「統括的な体制」とは言い難い。調査・駆除の時期やその対象となる地域の間隙を縫って、高い繁殖力を持つセアカゴケグモがしぶとく仲間を増やしているとも考えられる。

 現在、市は、『特定外来生物』であるセアカゴケグモを、国の許可を得て、福岡市保健環境研究所で1匹飼育し、その生態を研究している。ちなみに、同研究所では、来場者がモニターを通して観察することもできる。

【山下 康太】

▼関連リンク
・福岡市 セアカゴケグモ注意報(中)~知っておくべき特徴(13年2月12日)


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