<職員提案制度が実現する形>
このマイクロ水力発電設備の設置は、江東区の「職員提案制度」により、実現する運びとなった。江東区では、30年ほど前から、職員による提案制度を導入し、「こういうものが区内にあればおもしろい」などのアイディアを職員から募集し、最優秀賞を実際に事業化している。ユニークなアイディアがあっても、なかなか政策としては実行に移しにくいが、この「職員提案」があることで、区民のためになるアイディアを職員からくみ上げ、おもしろい施策を実現しやすくなっている。
平成24年度の職員提案で、温暖化対策課の職員が、区内の水路を活用してマイクロ水力発電を行なってはどうかというアイディアを提案した。区役所の職員から合計60本の職員提案が出されたが、このマイクロ水力のアイディアが、選定委員会の議論の結果、最優秀賞を獲得した。
最優秀賞は、課や所管に限らず、事業化するという決まりがあり、マイクロ水力発電の設置が事業化されることになった。「区長が、このマイクロ水力の提案を非常に気に入り、『これ、おもしろいからやろう!』と推してくれた。水が豊富にある江東区。水彩都市・江東というフレーズを掲げているので、それもあって、実現することになった」(成田課長)。
<都心部で先陣切る>
温暖化対策課の職員は、自然エネルギー先進国であるドイツ、デンマーク、フランスの水力発電所を視察し、そのノウハウを吸収して帰ってきた。
「ドイツのものは、小水力と言っても、規模が大きいので、完全に真似はできないが、ゴミがたまったり、大雨が降った時の対処法など課題を視察してきた。東京の江東区という都心部に作るところがミソかな」と、都市部でも可能であることを、先陣を切って証明する。水量や発電量などの観点から、都心部で適地を探すのは難航したが、3カ所の適地がマイクロ水力発電所設置の候補地として見つかった。
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