2013年2月に市制50周年を迎えた北九州市。その間、ものづくりのまちとして著しい成長を遂げ、近年では「公害を克服し、グリーン成長に取り組む近代的な産業都市」(OECDレポート)として、世界から注目を浴びる。一方、産業構造の転換による若年者の減少で、政令指定都市のなかでは最も高齢化が進んでいる。北橋健治・北九州市長が描く次なる半世紀とはいかなるものか。インタビューに加え、医師らとの誌上鼎談も交えながら、北九州市の今と未来を聞いた。
<市制施行50周年記念事業に託す想い>
――さっそくですが、北九州市は記念イベントがまだまだ目白押しですね。50周年記念事業の趣旨をご説明ください。
北橋健治氏(以下、北橋) 1963年2月10日に、門司・小倉・若松・八幡・戸畑の旧5市が対等合併して誕生した北九州市は、今年で市制50周年を迎えました。合併により全国有数の大都市となった本市は、ご存知のように、合併後まもなく深刻な公害問題や経済環境の変化といったさまざまな困難に直面しましたが、市民と企業、行政が一丸となって立ち向かうことで、これら諸問題を解決してきました。
こうした歴史のなかで、本市には「国際的にも認められた環境面での取り組み」、「ものづくりのまちを支えてきた高い技術力」、「多彩で個性的な作家、芸術家を輩出した文化の力」、「青い海と緑の山々に囲まれた豊かな自然環境」などの、さまざまな強みや魅力が生まれ育ったのです。半世紀の大きな節目を機に、こうした誇るべき強みや魅力を見つめ直し、郷土への誇りや愛情を深めてもらいたい、このまちの未来へつなげたい、そのような思いから1年間にわたる記念事業を展開しています。
――記念事業も折り返し地点。大変盛り上がっているようですが、半年を終えてみて、どういった感想をお持ちですか。
北橋 ひとことで言えば、市民の皆さんの「まちを盛り上げよう」という意気込みを強く感じています。市制50周年を迎えた今年2月10日に開催した「北九州市誕生祭」には、会場に約75,000人もの方々がおいでになりました。記念事業のキックオフイベントでしたし、関心も非常に高かったようです。また、市民自ら企画・実施する「市民公募50事業」も大変活発です。優れた企画に経費の補助を行なっているのですが、充実した内容の応募が多く、急遽、予定した採択数を増やしたほどでした。
私どもとしましても、昨年度からの各種プレ事業などで気運の盛り上がりに努めてまいりましたし、「日本青年会議所全国会員大会」や「全国商工会議所女性会連合会全国大会」といった大規模イベントも弾みをつけてくれたと考えています。とくに、昨年10月の「B-1グランプリin北九州」は、過去最多となる61万人の来場者を記録しています。市民の皆さんのこうした動きを目の当たりにして、まちへの「想い」を共有する手ごたえを感じているところです。
――来年2月までの主だった記念事業としては、どういったものがありますか。
北橋 7月下旬から8月にかけて、高校総体(開催地:北部九州4県)の卓球・弓道・バドミントンの3種目が本市で開催されますし、シニア世代の国体と言われる「日本スポーツマスターズ2013北九州大会」も9月に開催されます。この大会の一市単独開催は、北九州市が初めてです。また、同じく9月には「市民太陽光発電所」(メガソーラー)も稼働開始予定です。市民と地元産業界が支える"北九州方式"によってつくられた発電所は、皆が一丸となって公害を克服した本市の環境力の象徴となってくれるでしょう。さらに2014年2月に開催する「北九州マラソン」は、本市初のフルマラソン大会で、記念事業のフィナーレを飾る大会です。1万人のランナーの皆さんに、北九州市民の温かさを感じていただけるような、ホスピタリティ溢れる大会運営にしていきたいですね。
ほかにも歴史・文化や環境、健康づくりなど、幅広い分野において多彩な催しがあります。市制50周年という大きな節目の年が、市民の皆さんをはじめ多くの方々の胸に大きな思い出として残るとともに、輝く未来につながる意義深い年となるよう、市を挙げて取り組んでいます。
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<プロフィール>
北橋 健治(きたはし・けんじ)
1953年3月生まれ。86年7月に衆議院議員に初当選。以来、94年に大蔵政務次官。96年運輸委員会筆頭理事。98年衆議院環境委員長。99年大蔵委員会筆頭理事。2005年地方制度調査会委員。06年行政改革特別委員会筆頭理事などを歴任し、07年2月に北九州市長に初当選。現在、2期目。
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