<「ラオスの農業にビジネスチャンスがある」(荻坂代表)>
荻坂昌之代表(以下、荻坂代表) ラオスで行なう農業には、大いにビジネスチャンスがあると思っています。赤坂綜合事務所のラオス駐在の事務所スタッフも、小豆栽培などの農業事業を手がけています。ラオスでは、乾季に農地利用をしていない土地が多いので、乾季には農地が使われずに余っています。世界の食糧事情を考えると、農地が遊んでいるのではもったいない。これをうまく活用して、これから需要が増すであろう東南アジアの食糧事情に応えるのも、ラオスがさらに発展する1つの手段だと思います。
また、ラオスには牛が約400万頭もいます。この牛はラオスにとっても財産だと思います。今後、富裕層が増えてくるラオスで、おいしい牛肉を食べられるように、ビエンチャンの事務所スタッフは、食肉用の牛の生産にも取り組んでいます。ラオスの肥沃な土地で食肉用の牛を育てて、タイやベトナムなどに牛肉を輸出し、外貨を稼ぐという手もあります。
――ラオスにはもう1つ、ものすごい財産があります。それは、豊富な水資源と国土の高低差を利用した水力発電です。国内の電力需要のほぼ100%を水力発電でまかなっており、タイなど海外にも輸出しています。ミャンマーやカンボジアでは、停電の不安がつきまといますが、ラオスではその心配はほとんどありません。
ケントン・ヌアンタシン特命全権大使(以下、ケントン大使) 可能性のある分野のもう1つは、エネルギー産業ですね。ラオスの豊富な水資源を活用して、水力発電所を建設しています。現在、日本からは、丸紅、中部電力などから投資が入ってきています。この水力発電の分野に関しては、投資をもっと必要としています。水力発電事業には、非常に可能性があると信じています。
荻坂代表 赤坂綜合事務所では、ラオスの電力会社EDL-GENからの委任状をいただいていて、ラオスで水力発電所を建設するための日本での資金調達を任されていますが、まだこれに関しては、実績を残すことができていません。電力需要が増えるであろう東南アジアで、安定して電力を供給できるラオスの水力発電は魅力。EDL-GENの要求に応えられるよう、日本での資金調達を実現したいと思っています。
ケントン大使 ほかには、流通や物流のノウハウを持つ日本企業にも進出してもらいたい。日本から交通インフラ整備を支援してもらった東西回廊(ラオスを東西に走る国道9号線)は、タイからラオスを通って、ベトナムまで通じています。この道路を有効活用できる物流、流通の日本企業にもぜひ、ラオスに来てビジネスを行なってほしいと思っています。中南部のサワンナケートに経済特区があるので、ぜひ、ここを見にきてほしいですね。
――めぼしい輸出産業に乏しいラオス。外貨を獲得するための努力が、今後、ラオスの持続的な経済発展のキーポイントとなりそうです。
<プロフィール>
ケントン・ヌアンタシン駐日特命全権大使
1955年1月生まれ。73年にパテトラオ外交部入省。駐米ラオス大使館事務官、ラオス外務省ヨーロッパ・アメリカ部次官などを経て04年、駐オーストラリア、ニュージーランド特命全権大使。09年より政府報道官を務める。12年2月、駐日ラオス特命全権大使に就任。
<プロフィール>
荻坂 昌之 氏
1934年1月生まれ。赤坂綜合事務所代表。経営コンサルタント、不動産コンサルタント。日本商工会議所の大メコン圏ビジネス研究会の理事を務める。ラオスでは、水力発電など自然エネルギー事業、日本企業の工場設立支援などを手がける。57年にオギサカ(株)を設立。ベルギーなどヨーロッパでも不動産ビジネスを行ない、90年単体の売上高約980億円。95年に上場会社ヒューネットの再建を依頼され、代表取締役社長に就任。就任当時28億円だった売上を270億円まで立て直す。2008年より赤坂綜合事務所にて、ラオスを中心に東南アジアでのコンサルタント業務を展開している。
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