<観光資源としても一役買う?>
東京ディズニーランドやスカイツリーにも近い東京・江東区。お台場など江東区の臨海部への観光客も多い。だが、多くの観光客は、お台場だけを見て、新橋(港区)などに出て、どこかほかの観光地へ移動するルートを通る。江東区の内陸部には、亀戸、深川など、下町情緒あふれる観光資源もあるが、そちらの方にあまり足が向いていない。墨田区の東京スカイツリーにも近いが、これも、江東区の内陸部は通らずにスルーされることが多い。
「臨海部の観光客の足を何とか、内陸部にも向けたいという区の課題がある。このマイクロ水力の23区初というネームバリューを生かして、主に家族連れ、子どもたちの足が内陸部に向いてくれないかなとの思いもある」(同区温暖対策課・成田勇臣課長)と、水辺の観光資源の一つとしての役割にも期待している。
<山梨、富山などで広がる小水力発電>
実際に、観光資源として成功した小水力発電所もある。日本の水力発電先進県である山梨県都留市に設置された2メートルの木造の水車(元気くん1号)は、その風流な見た目でも人気を呼んだ。都留市では、市内を流れる家中川に木造水車(元気くん1号)や、らせん水車(元気くん3号)を設置し、売電収入を得ているだけでなく、小水力発電「元気くん」を巡るエコツアー(視察)を企画し、国内、海外からも視察団が、この自治体水力発電を見に訪れるという。環境学習のツアーに問い合わせ、申し込みは多く寄せられ、観光資源として、一役買っている。
富山県でも地の利を生かし、水量の豊富さと高低差を活用した水力発電導入が進んでいる。富山県では、県内の21カ所で、小水力発電所が稼働。農業用水路などを生かした小水力発電所の整備を推進している。富山県にある小水力発電所は、大きなもので約400世帯分の電力をまかなえるほどにもなる。
1カ所、1カ所の発電量自体は大規模ではないものの、たばねればかなりのものになる。日本にある小水力は、その潜在的な電源開発が、まだまだ可能だと期待されている。
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