<「直行便の就航が、在任中の大きな目標です」(ケントン大使)>
ケントン・ヌアンタシン特命全権大使(以下、ケントン大使) 私が特命全権大使の在任中にやるべき目標が、2つあります。1つは、日本企業からの投資の促進。もう1つは、日本とラオスを結ぶ飛行機の直行便の就航です。
荻坂昌之代表(以下、荻坂代表) 以前、私は直行便の就航を目指そうと計画して動いたことがありますが、そのときは、まだ日本とラオス双方の機が熟していませんでした。まだ民間の関心が低かったことが、成し遂げられなかった原因だと思っています。今なら、環境が整ってきたのではないかと思っています。
ケントン大使 以前は、ラオスの指導者たちの間で、日本とラオスを結ぶ直行便に関して話し合うだけでした。日本への直行便が必要だという人と、まだ不要だという人で意見はバラバラでした。ですが、ここにきて、ラオス政府の指導者たちの意見は一致しました。『ぜひ、日本との間に直行便がほしい』という意見でまとまりました。
現在、日本の国交省にもアプローチしています。どのようなやり方なら就航できるのか、条約締結に向けてどのようなやり方で就航までをこぎつけるのかを模索しています。近々、直行便の就航を実現するために、日本を視察する視察団が、ラオスから日本に来る予定です。
荻坂代表 以前から、知り合いの国会議員に、『どうして、日本とラオスに直行便がないのか』という議論を持ちかけたりしていました。韓国からは、ビエンチャンに直行便が飛んでいます。なぜ、日本からは飛んでいないのか。早く、直行便をつくらないといけないと思います。これからも政治家や民間のビジネスマンたちに、働きかけていくつもりです。
ケントン大使 直行便が就航すれば、東京からビエンチャンまで約4時間で行けることになります。直行便があれば、まず観光客が増えます。そして、人の往来が増えるだけでなく、ラオスの製品をこれまでより簡単に日本に輸出することができます。また、逆に、日本の製品をラオスが輸入しやすくなります。日本の製品を輸入しやすくなれば、輸送費が安くなりますし、ラオスで買う日本製品の価格も安くなる。ラオス国民にとっても、メリットがありますね。
荻坂代表 両国にとってメリットがありますが、日本、ラオス、両方ともの努力が必要だと思います。歩み寄る努力ができるかどうか。国交省に対するアプローチも大事だと思いますが、民間の観光関連の会社などを巻き込んで、民間から民意をつくっていくことも大事でしょうね。ラオス側は、観光産業において、どうすれば観光客の滞在期間が延びるのかなど、需要をつくるため努力することが必要でしょうね。
ケントン大使 まず、観光からラオスのことを知ってもらうことは大事だと思っています。嬉しいことに、日本には、ラオスを好きだと言ってくれる人たちが増えてきています。ラオスのことをもっと知ってもらうことから始めたいと思います。荻坂さんの言うように、人と人との交流は大事ですね。人と人との交流が、民間と民間の交流になり、国と国との交流に発展することを願っています。
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<プロフィール>
ケントン・ヌアンタシン駐日特命全権大使
1955年1月生まれ。73年にパテトラオ外交部入省。駐米ラオス大使館事務官、ラオス外務省ヨーロッパ・アメリカ部次官などを経て04年、駐オーストラリア、ニュージーランド特命全権大使。09年より政府報道官を務める。12年2月、駐日ラオス特命全権大使に就任。
<プロフィール>
荻坂 昌之 氏
1934年1月生まれ。赤坂綜合事務所代表。経営コンサルタント、不動産コンサルタント。日本商工会議所の大メコン圏ビジネス研究会の理事を務める。ラオスでは、水力発電など自然エネルギー事業、日本企業の工場設立支援などを手がける。57年にオギサカ(株)を設立。ベルギーなどヨーロッパでも不動産ビジネスを行ない、90年単体の売上高約980億円。95年に上場会社ヒューネットの再建を依頼され、代表取締役社長に就任。就任当時28億円だった売上を270億円まで立て直す。2008年より赤坂綜合事務所にて、ラオスを中心に東南アジアでのコンサルタント業務を展開している。
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