(社福)福岡市保育協会 中央保育園の現・移転予定地をめぐる土地選定・取引の疑惑について、中央保育園の在園児や卒園児の保護者6名が7月17日に行なった住民監査請求は、福岡市監査委員が事実上、請求で指摘されている『疑惑』を認めるかたちとなった。髙島宗一郎福岡市長は、これまで避けてきた同予定地の選定・取引における不透明なプロセスに関する説明を、市民の納得が得られるように実施すべきだ。
<疑念拭えず、「極めて異例」な棄却>
11日、中央保育園の移転事業における現・移転予定地での保育園建設と同土地への移転に関する各支出の停止を髙島宗一郎福岡市長へ勧告するよう求めた同請求が棄却された。しかし、監査委員は、市長に対して「(棄却は)違法・不当であるとの明確な根拠がないが故の消極的判断」「多くの疑問点が解消されていない」と意見。監査事務局によると、このような意見を付すのは「極めて異例」という。
また、請求人への通知のなかで監査委員は、移転事業を担当するこども未来局から「納得できる十分な説明が得られなかった」などとして疑問点を列挙。福岡市長に対して、市事業にかかる意思決定過程の透明性の確保などを強く要請するとしている。
監査委員が指摘した疑問点は以下の通り。
1.2011年5月から7月までに行なわれた移転予定地の選定について
(1)地権者と接触せず、2階建てのコインパーキングがあり、移転交渉が必要と思われる現・移転予定地が、なぜ、「早期取得可能」と判断できたのか。
(2)価格調査も地権者との交渉も行なわず、当時、平地の駐車場であった隣接地(現パチンコ店)よりも、相当額の移転補償などの経費が必要と思われる現・移転予定地のほうが、なぜ、「安価に取得できる」と判断できたのか。
2.2011年7月26日の市政運営会議に提出された資料について
(1)現・移転予定地と比較された「移転候補地2」の取得費見込みを地価公示価格相当額の3倍もの価格で算出した「明らかに不正確な資料」が、なぜ、提出されているのか。
(2)土地選定の手続きが全般的に安易であり慎重さを欠いている印象を受け、福岡市は当初から本件土地を取得する方針があったのではないかという疑念は払拭されなかった。
3.現・移転予定地の保育園用地としての適法性・妥当性について
6カ所の移転候補地選定の際に、風営法関係事項を比較要素とはしておらず、また、地図上での確認や個別具体的な調査を行なったわけではなく、不十分さがあったといわざるを得ない。
同監査請求の請求人代表である堀田剛氏は記者会見で、「内容的に監査委員の苦悩が伝わってくる。私たちの主張は間違っていない」とコメント。30日以内に住民訴訟を提起する方針を示した。
▼関連リンク
・中央保育園移転問題(福岡市中央区今泉):保護者の会HP
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