<世耕弘成氏と林久美子氏>
安倍政権で副官房長官を務める世耕弘成氏と民主党の参院議員・林久美子氏が、9月2日に入籍していたことが明らかになった。ともに参院議員会館10階に事務所を持ち、世耕氏が1017号室、林氏が1020号室というご近所さん。昨年夏から親密な交際を始めたというが、2人の関係を知る人はほとんどいなかった。
結婚報道は瞬く間に永田町を駆け巡った。11日午後2時半から自民党本部9階で開かれた「政調、税調調査会小委員会」に出席した自民党議員の間ではその話題でもちきりだった。彼らは口ぐちにこう述べて、溜息をついたという。
「副官房長官といえば首相の側近で、官邸の中枢にいる職務。重要な国家機密も知ることができる。まさか林氏を介して、民主党につつぬけになってはいないだろうな・・・」
実際、世耕氏は安倍晋三首相の側近として知られ、9月4日と5日にペテルブルグで開かれたG20首脳会議にも同行している。安倍首相が熱心に取り組む拉致問題にも、深くコミットしている。
そんな世耕氏に対する永田町の評価は以下の通りだ。
「世耕氏は常に安倍首相にくっついている。今年1月に日本人10名が殺されたアルジェリア人質事件で首相が記者団の取材に応じた時、その背後にカメラを意識した世耕氏の顔が見えた。NTTの広報出身なだけあって、自分をアピールする能力だけはずば抜けて長けている」
一方で林氏の評判はどうか。民主党関係者はこう述べる。
「林氏は党の上層部や労組幹部に喰い込むのが極めてうまい。要するに"ヒラメ"(目が下ではなく上についている)だ。特に酒宴では、お酌をしながらさりげなく男性の身体に触れる。あのテクニックはすごい。たいていの男性なら、あれでイチコロにされてしまう。民主党では『蓮舫ママ、林チーママ』と言われていた」
議員というよりまるで辣腕の水商売経営者のようだが、さらにすごい話がある。林氏と元民主党代表の前原誠司氏との関係だ。
林氏が参院選で初当選した翌年の2005年、某情報誌に「民主党プリンスの不倫疑惑『ポスト小泉政局』に波紋も」という記事が掲載された。
内容は1993年の衆院選で、早稲田大学生だった林氏が前原氏の選挙を手伝い、それが縁となって2人の関係が深まったというものだ。同記事には大学を卒業して地元メディアに就職した林氏が有力な地方議員に喰い込んだため、参院選で自民党公認候補に大差をつけて当選したとも書いてあった。
この記事のコピーは議員会館の民主党所属全議員の事務所に配布された。その印象は極めて強かったようで、いまだに林氏を見ると前原氏を連想する民主党関係者は少なくない。
そのような事情を配慮してか、結婚が明らかになった11日、世耕氏は記者団に囲まれて「近く部屋を見つけて一緒に住む。パーティーや披露宴はしない」と答えている。
この時、世耕氏は結婚指輪も指にはめず、財布のなかに入れていた。派手にしないのはともに再婚同志の照れなのか。それとも夫婦で所属政党が異なるからなのか。この件については官邸も直前まで知らされず、慌てて調査したといわれている。
「10日に新聞社が2人の結婚をかぎつけ、『林氏が民主党を離党し、自民党へ移るのか?』と囁かれた。それで林氏が急いで民主党滋賀県連会長である三日月大造氏に『自民党に行くことはない』と報告したようだ」(官邸関係者)
しかしこれでおさまりそうにもない。林氏には朝日新聞の記者だった前夫との間に小学生の男の子がいる。永田町でははやばやと「お家騒動」にまで話題が進んでいる。
「世耕氏は近畿大学のオーナー一族で、副官房長官に就任するまで理事長を務めた。幼稚園から大学院まで擁しており、同窓生は45万人にのぼる。いわば世耕家は近畿地方の有数の名家だ。林氏はいわば"玉の輿"に乗ったわけだが、世耕氏は創業者である弘一氏の長子系ではない。参院議員になったのも急死した伯父の政隆氏の跡を継いだわけだが、それを政隆氏は望んでいなかったとも言われている」(自民党関係者)
世耕氏と同じく学校法人を経営し、国会議員だった畑恵氏と結婚した船田元氏の場合、妻の畑氏が学校運営に積極的に関与している。畑氏と同じく早稲田大学第一文学部を卒業し、テレビ局でキャスターを務めた林氏がおとなしく家庭におさまるとはとても思えないというのが周囲の一致する見解だ。
「林氏は3年後に改選だが、その時は民主党が存在しているとは限らない。そうなれば当選は難しいだろう。畑氏と同じく、夫の仕事に口を出していくのではないか」
またこのタイミングでの結婚発表に、いぶかる声もある。
「実は内閣改造で、世耕氏も副官房長官の職を解かれる可能性があった。だが安倍首相は4日に来年の通常国会まで改造しないことを言明した。世耕氏はいちおう"首が繋がった"わけだから、安心して入籍したのではないか」
いずれにしても国会議員である間は、その職責を忘れないでいただきたい。
※記事へのご意見はこちら