近頃、手軽に楽しめるレジャーとして工場見学の人気が高まっている。また、「消費者に製造過程から説明することで、より一層自社製品を理解してもらい、ファンになってもらいたい」という思惑から、企業側も工場見学に注力するケースは多い。
業務用食材卸、明太子製造などを手掛ける(株)山口油屋福太郎(福岡市南区)も、工場見学を行なっている企業の1つである。本社社屋に隣接する明太子製造工場の工場稼動日は工場見学を受け付けている。
同社の明太子は辛さを控えめにすることで、子供や女性にも食べやすい親しみやすい明太子として売り上げを伸ばした。そんなコンセプトの同社の明太子工場見学には、年間、子供からお年寄りまで様々な団体客が訪れる。多い時期では1日に7、8団体受け入れることもある。同社の工場見学の人気を支える要因の1つとして、見学者の1番近くで対応をするスタッフが同社の顔として"おもてなし"の心で接客し、来場者が気持ちよく過ごせるよう心遣いを行なっていることがあげられる。
同社の工場見学案内スタッフの1人、飯貝清子(いいがい・さやこ)氏は、入社以来工場見学対応を行なっている。同社には、接客マニュアルがない。マニュアルに沿った接客よりも、その時々の状況に応じて臨機応変に心からの接客の方が、顧客の心に響くという会社としての方針に基づくもの。
彼女の接客は、常に笑顔。来場者一人ひとりの目線に合わせ会話を行なうほか、尋ねられて答えに窮した場合は、すぐに本社内の担当社員に確認し回答するなど、マニュアルではできない一人ひとりに気持ち良く過ごしてもらいたいという心からの対応である。
そんな接客を行なっている彼女について、同社山口勝子専務が「明るくて、笑顔がかわいくてあたたかい接客をしているのでお客さまからも大変人気。何にでも一生懸命になる熱い心がとても素敵」と語るなど信頼も厚い。
団体が多い場合は、チームで協力してこなすことになるが、後輩は「常にお客様目線でのアドバイスしてくれる」と話し、チームワークは抜群。取引先関係者からも「さりげなく察知して気を使ってくれる。彼女たちと話をしていると元気になる」と話す。
工場見学の場合は、1回限りとなる場合も多い。しかし、なかにはリピーターとなる方や以前の来場者からの紹介で訪れる方もいる。「そのような方がいらっしゃると、案内し甲斐がある。また頑張ろうという気持ちになります」と彼女は話す。
同社の工場見学は、明太子の歴史、製造の過程、工場の様子を見学したのちに、出来立ての明太子を試食するというコース。誰にでもわかりやすく楽しみながら、博多の味、明太子をより深く知ることができる。また見学には、飯貝氏をはじめとした案内人が工夫を凝らしながら、楽しめる工夫をしている。一度足を運んでみてはいかがだろうか。
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