<在園児(保護者)に口を挟む権利なし?>
(社福)福岡市保育協会 中央保育園の移転禁止などを求める仮処分申し立てを受け、福岡市は、同市の実施規則などに矛盾する可能性が高い主張を展開。新・中央保育園に関する法廷での討論を避けようとする高島市政の態度に、保護者側の弁護士は「本事件の本質がある」との見方を示した。
13日、福岡地裁で、同申し立ての当事者や利害関係人が意見を陳述する審尋が行なわれた。申し立てたのは、同保育園の在園児6人とその保護者5人の計11人。審尋の終了後、保護者およびその弁護士らは会見を行ない、福岡市および保育協会側の意見について見解を述べた。
8月29日に裁判所に提出された市および保育協会側の意見書は「申し立てのいずれも却下」とし、「保育の実施期間を最長当該年度末までとしており、在園児およびその保護者には、来年度以降(2014年4月1日~)に特定の保育所(中央保育園)で保育を受け(させ)る法的地位があるわけではない」と主張。つまり、在園児とその保護者には、「保育の実施期間」外である新・中央保育園のことに口を挟む権利はないというのである。
しかし一方で、保護者側の弁護士は、保育の実施期間を「小学校または特別支援学校の小学部の就学の時期に達するまでの期間内で当該入所児童の保護者が保育の実施を希望する期間の範囲内」とした福岡市保育の実施に関する規則第4条に違反すると指摘。また、「保育の実施期間を原則として『小学校就学始期に達するまで』とした、平成9年児童福祉法改正に伴い発出された通達に違反し、違法の疑いが強い」と反論した。また、同席した保護者は、「逃げの姿勢もいいところ」と、怒りをあらわにした。
近隣にラブホテル街、狭く交通量の多い一方通行の前面道路など、現・移転予定地に対して、市民の疑問の声は根強い。そのうえ、同土地の選定・取引のプロセスが、「多くの疑問点が残る」(市監査委員)とされており、高島宗一郎福岡市長以下、市側が繰り返す「総合的に判断」の内容が強く問われ続けている。そのようななか、高島市政は、移転工事を強行したあげく、ついには「権利がない者に対応する必要がない」という開き直りを見せ始めた。
※記事へのご意見はこちら