12日、アクロス福岡(福岡市中央区)の福岡シンフォニーホールで、福岡市および公益財団法人よかトピア記念国際財団が主催する「福岡アジア文化賞」の授賞式が行なわれた。同賞は、都市の視点でアジアの固有で多様な文化の保存と創造に顕著な業績をあげた個人や団体を顕彰する国際賞。文化の進行と相互理解および平和への貢献を目的としており、今回で24回目となる。
大賞を受賞した、PMS(ピース・ジャパン・メディカルサービス)総院長、ペシャワール会現地代表の中村哲(なかむら てつ)氏は、福岡県出身で、九州大学医学部出身の医師。国立肥前療養所、大牟田労災病院などに勤務した後、30年にわたってパキスタンやアフガニスタンで、難民など貧しい人の診療を行ない、干ばつによる自給率の低下に苦しむアフガニスタンの人々のために井戸を掘る活動も行なってきた。
大賞を受賞した中村氏ら受賞者は、市民から贈られる賞だということで、客席の間を通って入場し、登壇。
受賞後、中村氏は、「温暖化の影響は生やさしくない。貯水設備に力を入れてきた」と発言。市民からの「活動の際に一番大事にしていることは」との問いに、「絶対に暴力を使わない。みんなが押し寄せるところには行かない。誰も行かないところに行く」と発言。会場では、この発言に対し、大きくうなずく観客の姿が多く見られた。
中村氏以外の受賞者は、学術研究賞がオーストラリアのアジア地域研究者テッサ・モーリス=スズキ氏、芸術・文化賞がインドの現代美術家ナリニ・マラニ氏とタイの映画作家アピチャッポン・ウィーラセタクン氏。
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