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カンボジアで予想外の連続 常に先を見据えて、柔軟に~(有)ウイングス
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2013年9月13日 12:30

 中古車販売アラジンネットワークの長崎地区FCを担う(有)ウイングス。5年前にカンボジアに進出し、現地で中古車販売店、整備工場、和食レストランを運営する国際的な企業である。目まぐるしく変化するカンボジアのビジネス環境について、同社代表取締役の川浪量資氏に話を聞いた。

<進出を決めたが予想外の連続>
(有)ウイングス 代表取締役 川浪 量資 氏 (有)ウイングスがカンボジアに進出するきっかけとなったのは、同社代表取締役の川浪量資氏が知人の紹介を受け、神戸のアジアマリン協同組合という経営者の集まりに参加したのが始まりだった。川浪氏は組合のなかで海外でのビジネス展開を考えていたが、ビジネスの拠点として考えていた中国の人件費の高騰に直面する。そこで、中国以外にどこを拠点とするのか、情報を収集し分析を重ねた結果、人件費の安いカンボジアに注目した。その後、川浪氏は現地を視察し、経済成長の勢いや自動車需要の高まりを肌で感じた。当時、整備工場を兼ねた中古車販売を行なう日本企業は進出しておらず、意を決して挑戦に踏み切った。

 カンボジアは治安も悪くない。川浪氏もカンボジアに対して、温厚で勤勉、親日家が多いというイメージはあったが、最初は不安だった。そして、その不安は的中する。ネットワークを持たないなかで、5年前のカンボジアは予想外の連続だった。
 社屋を構える首都プノンペン。首都とはいえど、信号がほとんどなく、少し郊外に行けば何もない。インフラが整備されていないうえに、法整備も不十分で、事前に収集した情報と食い違うことが多かった。
 予想外は社内でも続いた。当時の従業員の様子から感じられたのは、まず仕事に対する考え方が成熟しておらず、教育が行き届いていないこと。さらに、英語が思うように通じず、3つのことを指示しても2つは実行できない状態。作業内容を理解しても、日本で行なう3分の1程度のスピードでしか作業が進まないなど、社内でも苦労の連続だった。
 しかし、そのなかでも、明るい光が見えてきた。
 「最初は本当にうまくいくのか心配でしたが、仕事の出来不出来は別として、カンボジア人は皆勤勉でよく働くんですよ。働きぶりを見て、これはいけると確信しました」(川浪氏)。

<整備工場に日本企業からの依頼が相次ぐ>
 進出当時、カンボジアへの日本企業の進出は、中国や韓国と比べるとずいぶん遅れており、初めて訪れた5年前の日本企業進出数は約40社だった。ところが、現在では日本企業の進出数は100社を超えた。これにより、同社は思わぬ恩恵を受けることとなる。それは、ビジネス対象が、現地の富裕層だけではなくなってきたのだ。

 当初、同社は中古車販売しか手がけていなかったが、その後、整備工場を兼ねたガレージをオープンした。ここでは、販売した自動車の整備を目的としていたのだが、そこに日本企業からの注文が殺到。というのも、現地の自動車整備技術は未熟なため、多くの日本企業が自動車の整備についての悩みを抱えていた。そこに同社が登場したことで、一気に注目を集めたのだ。「カンボジアでは自動車をメンテナンスするという概念があまりなく、乗りっぱなしが多い」―と、当初は想定していなかったニーズの発見につながった。
 同社ではまず見積もりを出して、見積書の説明を行ない、適正な金額で交渉する。これは、日本では当たり前の光景だが、現地にはこのようなシステムがまだ根付いていない。
 「当初は販売がメインで進出したわけですが、今後は修理やメンテナンスのサービスの方が伸びていくでしょう」と川浪氏は期待を寄せている。

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<経済成長も読みながら常に先を見る>
 当面は自動車関連の事業を継続していく予定だが、それだけでは行き詰まると、川浪氏は危機感を持っている。
 そこで現在、自動車販売、整備のほかに、カンボジアで日本食の飲食店も経営している。カンボジアでは、消費者の購買力は上がっているものの中間層が成熟しておらず、顧客層が薄い。ただ、日本企業の進出が続いており、現地駐在の日本人がたくさん訪れてくれるおかげで、経営も順調だという。
 今後は、経済成長にともなって所得も増加していくことで、カンボジア人も顧客として取り込めると考えている。さらに先を見据え、カンボジアでいくつか飲食店を手がけ、実際に売れる店をFC展開していきたいと、川浪氏は構想を語る。

<成功の鍵はやるかやらないか>
wasyoku.jpg 最後に川浪氏はこれまでの5年間の経験をもとに、企業経営者にエールを送る。
 「5年前を考えると、まったく違う環境にいます。現在のカンボジアは、昭和30~40年代くらいの日本と同じ高度経済成長期。法整備の遅れ、銀行が少ないためにローンが組みにくいなど課題はいくつもありますが、それ以上にカンボジアのマーケットには成功する要素がたくさんあります。結局はやるか、やらないかだけです。
 ただし、リスクは覚悟しておくことと、数年後にその事業のままでずっとうまくいくかは保証できません。もともと自動車販売で進出し、メンテナンスにニーズを見つけ、力点を変えつつあるように、変化に柔軟に対応していくことが海外進出には必要だと思います」。

【東城 洋平】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:川浪 量資
所在地:長崎県西彼杵郡時津町浦郷260-11
TEL:095-860-8055


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