<出場団体が地域におよぼす効果>
北九州市におけるB-1グランプリでこれも初出場ながら第6位となった「田川ホルモン喰楽歩(福岡県田川市)」のケースを見てみましょう。
田川ホルモン喰楽歩(会長・金子和智氏)は、「田川のソウルフード『田川ホルモン鍋』のPR活動を通じ、田川の魅力を全国に発信することで、田川地域を日本一、いや世界一元気な地域にすること」をミッションに2008年秋に設立されています。
炭鉱のまち、その労働者のまち・田川では、昔からホルモン(牛の内臓)が好まれていました。過酷な労働を癒すために栄養豊富で安価なホルモンをたくさん食べていたのです。炭鉱がなくなった今でも、田川には、人口に比して多くの焼き肉店や食肉販売店があると言われています。歴史の重みですね。
その田川ホルモン鍋とは、「真ん中が窪んだ鉄板で焼き肉のタレで下味を付けたホルモンと大量の野菜を炒め煮する、炭都「田川」のソウルフード」であるとされています。この旧産炭地田川のソウルフードがいきなり6位に入ったわけですから、地元は沸き立ちました。
その評価を関係者から取材しましたので、以下いくつか紹介します。
・ホルモン鍋提供店においては地域外からのお客さんは増えた。
・地域の人から田川のPRご苦労さんと声をかけていただくことが増えた。
・「あんたたちが一番、田川をPRしてくれよう、ありがとう」という嬉しい言葉もかけられるようになった。
・地元伊田商店街が手づくりの横断幕を設置してくれ、B-1入賞を称えてくれた。
・福岡県立大学(田川市)や隣の飯塚市のNPOから講演依頼が数件あり講演を行なっている。
・田川ホルモン喰楽歩の公認商品の開発依頼が相次いだ(3件開発済)。
・田川ホルモン喰楽歩のアンテナショップに関する相談が2件あった。
・田川ホルモン鍋の提供店舗が増えた。
・ホルモン喰楽歩スタッフ申込に関する問い合わせが増加。
・JR九州が「田川ホルモン鍋ツアー」を企画。
・平成筑豊鉄道がホルモン列車を企画。
・このようなことから、全国的に田川とホルモン鍋の知名度が向上した感がある。
以上ですが、この団体で特筆すべきは、各地のB-1団体他との交流を積極的に行なっていることです。JR日田英彦山線つながりで近くの日田やきそば研究会、遠くは福島県浪江町「浪江焼麺太国」、この9月には「とやまグルメランドinうおづ」にも出展するなど、その行動力は目を見張ります。
必ず田川の知名度をあげ田川への訪問者も増加し、田川が一層活性化するものと思われます。
以上、昨年の「B-1グランプリ in 北九州」が発揮した多面的な経済効果を見てきましたが、地域の底力は、地域を愛し地域の活性化を願う熱い心を持った方たちから発揮されることがよくわかります。
なお、北九州市制50周年記念事業の一環として、かねてから手づくり着地型観光に取り組んでいるNPO法人北九州タウンツーリズムが受け入れ団体となって「第3回日本まちあるきフォーラムIN北九州」が10月5、6日に開催されます。ユニークなまち歩きなどが計画されています。勉強になると思います。詳しくは同NPOのサイトへどうぞ。
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和歌山大学産学連携・研究支援センター客員教授、観光学部フェロー
西日本工業大学デザイン学部非常勤講師
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