中央保育園の移転問題について、限りなく黒に近いグレーとした監査委員の意見や度重なる市議会の追及をものともせず、不透明極まりない土地選定・取引のプロセスを「手順を踏んで適正にやってきた」とまで公言した髙島宗一郎福岡市長。その強行姿勢の拠り所としている移転後の保育園の安全対策にも疑問が残る。移転予定地周辺の現状について、髙島市長の認識が誤っている可能性があり、自身のブログなどで不適正な説明をしているからだ。
<車道を歩道として説明>
髙島市長は、現移転予定地に反対する同保育園の保育士や在園児の保護者の質問に答えることなく、強行した移転事業に合わせ、13年7月18日に現行の移転事業の正当性を訴える記事を掲載。そのなかで新保育園の前面道路(今泉公園通り)における安全対策に関して画像付きで説明。内容には、16日に現地周辺を視察した時の所感も含まれている。
問題なのは、同記事のなかで「ベビーカーを押しているときには、車道側にはみ出さないと通行できません」「車道を狭くして、歩道を拡幅する」と書いてある点にある。髙島市長は、この道路に歩道があるという認識のようだが、そもそも白線で仕切られた路側帯は歩道ではなく、道路法に基づき作成が義務付けられている道路台帳上、車道の一部である。正確に言えば、現在は、車道を人が歩いている状況なのだ。市長の説明では、現在、人が歩いている路側帯の幅がさらに広がるかのようにも思えるが、現在の路側帯の幅70~80センチを歩道に変えたとしても「0から拡幅した」と言えるのだ。
さらに、「園まで安全に通園できる歩行空間を確保することにした」とあるが、現時点における安全対策の内容を市担当部署(中央区)に確認したところ、前面道路が国体道路に交わる直前の幅4.6メートルと最も狭くなる部分については、電柱を移設するものの、「歩道を設置せず、路側カラーで対応」することが決定事項であるという。この4.6メートル部分は、前出の「ベビーカーを押しているときには...」と説明された箇所。この点、市長ブログでも画像によってはっきり示されている。路側カラーとは、路側帯を緑色に塗ることであり、断じて歩道になるということではない。司法関係者によると、万が一、この部分で事故が発生した場合、法律上は『車道上での事故』として扱われてしまうという。
歩道の幅については測量して設計中の段階だが、「最低でも1メートルは確保する」(中央区)という。もし、そうだとしても現在白線が引いてある部分から20~30センチほど道路の内側までが歩道になるということになる。また、現移転予定地の反対側の路側帯(幅50センチ)については、歩道は設置せず、路側カラーのみの対応になるという。
移転事業を担当するこども未来局の説明資料では「歩道の設置」とされているが、髙島市長はマスコミからの質問にも「歩道がいわゆる路肩(路側帯の誤り?)の真ん中に電柱が立っていたりとかですね」(13年7月16日定例記者会見より)などと答えており、「路側帯=歩道」との認識に立っている可能性は極めて高い。さらに、9月17日の市議会一般質問でも答弁のなかで「歩道の拡張」と発言。もっとも、違いを理解した上で記述・発言しているのであれば虚偽説明ということになる。いずれにしても、髙島市長が強弁する安全対策には不安を抱かずにはいられない。
▼関連リンク
・高島宗一郎オフィシャルブログ「Open・Fair・Free」(13年7月18日記事)
・中央保育園移転問題(福岡市中央区今泉)HP
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