福岡市中央区天神の福岡アジアビジネスセンターで9日(月)、第45回イブニングワークショップが開催された。セミナーでは「東南アジア進出におけるシンガポール活用法」をテーマに、シンガポールでインキュベベーションオフィスを運営するクロスコープシンガポール取締役の関泰二氏が登壇した。
「我々の戦略は、世界、グローバライゼーションに繋がることだ。我が国のみでは何の存在価値もない」と、話したのは、2004年にシンガポール大統領となったリー・シェンロン氏。彼の言葉通り、外資企業の参入を優遇し、大きな成長が見込まれるASEANへのゲートウェイとして、さらなる国内市場の活性化へと繋げている。そして現在、発展途上国で貧しかった40年前から、人口531万人(2012年)、1人当たりのGDP5万1162ドル(2012年)と、世界第10位を誇る先進国・成熟社会にまで成長した。
これだけの経済発展を遂げた理由の1つとして、充実したシンガポールのビジネス環境が挙げられる。まず、海外企業がシンガポールに参入する際、外資比率上限は無制限、資本金もたったの1シンガポールドルといった規制が設定されている。そして、設立期間や就業ビザ発行もスピーディーで、およそ1カ月で会社を設立することが可能だ。さらに、政府経済開発組織による税制優遇プログラムなど、支援プログラムを受けることもでき、海外進出を考える企業にとっては非常に魅力的だ。
次に、シンガポールのインフラ面に注目し、各国の海外企業がアジアのハブとして拠点をおいている。シンガポールの玄関口であるチャンギ国際空港は航空会社83社が起航、182都市との路線が週5,400便で結ばれている。このフライトを利用して、3.5時間でASEAN地域、6時間でアジアの各主要都市へのアクセスが可能となる。また、世界最大規模のコンテナ港であるシンガポール港は、取扱量約3,165万TEU、 世界123カ国の港に航路が整っている。こうしたシンガポールのロケーションを活用し、アジア地域にまでビジネス展開することができるそうだ。
関氏は「ますます中間所得層が拡大するアセアン新興国へのアプローチの拠点として、シンガポールが活きてくる」と話した。2050年までに世界のGDPの半分以上を占めると言われているアジア。シンガポールを活用することが、日系企業のさらなるビジネス拡大の鍵となるかもしれない。
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