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トップ保険マンがなぜMBAを求めるのか(1)
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2013年9月20日 16:48

 MBAとは「Master of Business Administration」の略で、通常「経営学修士号」と訳される。一時期、海外のMBAを取得すれば就職時に優位だった時代があった。2003年の「専門職大学院制度」の設立を機に、国内でもMBA取得が可能なビジネススクールが数々登場したが、MBA取得者が優遇される環境が育っているとは言い難い。それでもMBA取得を志す人が後を絶たないのはなぜか。NET-IB編集部、MBA取材班のふたりが、MBA取得とビジネススクールの価値を取材した内容を総括した。

<社会人の学びが人事評価のマイナスに>
 記者I 以前、法科大学院がつくられる際に仕事で関わったことがあり、「専門大学院」制度から「専門職大学院」制度へ仕組みが変わるなかで、国内外の大学に次々とMBAコースがつくられていったという流れは知っていました。しかし、具体的な動きや各々のスクールの特色を、今回の取材で改めて知ることができました。財界主導でつくられた国際大学国際経営学研究科が、英『エコノミスト』誌のMBA世界ランキングで日本で唯一8年連続でランクインしていますが、ここでは企業が自社の社員を学ばせ、育てたりもしており、修了後は幹部扱いになるなどキャリアが認められています。すべての授業が英語で昼間行なわれているということもあり、一般人がMBAの取得先を決める際の選択肢としては選びにくいので、世界ランキングで選ばれていることを知らない人も多いですね。

博多駅QBS事務所 記者K 企業が自社の社員の学び舎として選択するという、国際大学国際経営学研究科のようなあり方は、日本におけるMBA取得の方法としては理想的でしょうね。学費負担や社員教育の時間を考えると、企業と学生の相互にメリットがある。今の日本は、自分たちの社員が自らのスキルアップの為に外部に学びに行くことに対して、受け入れのシステムができていないという問題があります。今回の取材では、社員がMBAを学びに行く、というのを評価できる企業とできない企業があるのがわかりましたね。まずは就業時間後早々に切り上げることからして難しい。もともとMBAを取得したいと思う人は仕事に対するモチベーションも高いから、就業時間外でも仕事に関連する業務を持っているもの。残業や出張、飲み会での情報交換などを差置いて、実際に職場で評価されるかどうかわからないものを優先する、という姿勢そのものが、周りにしてみれば受け容れ難いのかもしれません。

 記者I 私が以前いた職場は、「これからの社会人は働きながら学ぶべき」という理念を社会に広める役割を担っていました。しかし、いざ職員が社会人大学院に通いはじめると、「働きながら勉強をすると、周りから暇だと思われて困る」と非難。当人は人の何倍も業務をこなしていたのに、人事評価はマイナス。社会人大学院で学んだことが仕事に活かされているのは上司も認めているのです。なのに陰口を言われたりと、本音と建前が裏腹で矛盾していました。厳しい周りからの目に耐えながら、自分の時間とお金を使って学ぶ、と言うのは精神的に辛いですね。そのとき、個人的な向上心を暖かく見守ってもらえれば、企業と学ぶ本人の相互にメリットがあると感じました。

<理解は環境値で大きく変わる>
模擬講義の様子 記者K 環境的に社会人が学ぶことへの理解が進んで欲しいと思いますね。しかし、そのお話の頃より今は、少し世間も寛容になってきているのかもしれません。私が話を聞いた修了生も仕事と家庭、そして学業を共立していて、業務をこなすのが大変そうでしたが少ししでも仕事に粗が出ると上司から、「誰も勉強に行ってくれと頼んだわけじゃない」と皮肉を言われるだろうと人並み以上の成果が出るよう努力をしていました。また、機会があるごとに「実は、今こういう良いものを学びにいっているんです」とアピールしていたそうですよ。そうやって態度で示しているうちに上司の態度が変わってきて、就業時以降に残っていると、「今日は勉強に行かなくていいの?」と尋ねてくれるようになったそうです。また、在校生からも、就業時間が過ぎるとMBA取得者の先輩が周りの人を説得してくれたりする、という話を聞きました。

 記者I 職場に取得経験者がいるのは恵まれていますね。企業のなかには幹部がMBAを取得し、その仕事ぶりをみて部下も見習って通う、という道ができているところもあります。経験の有無は大切です。女性の立場から言わせていただくと、子育てもそうですね。子どもを抱えながら働くというのは結構難しいのだけど、経験した人が側にいると様子を観ただけで察して、事情をわかってもらえたりします。

 記者K 理解は経験値によって変わりますね。想像で慮るには限度があります。「MBAってこんなにいいもの」というメリットを知る人が増えることが、学びやすい職場を広めていく鍵になるでしょうね。

 記者I そういう意味では、取得者が学んだことを用いて会社へ利益を還元できるようになると、職場環境のなかでも認めてもらえやすいのでしょうね。

 記者K でも肝心の実績を挙げる環境が職場にない、ないだけならまだましで、学ぶ姿勢そのものを不当に評価されるというのでは改善の余地がない。「MBAを取得すると、自分が知らない知識を振りかざされる」という危機感を覚え、邪魔扱いするところもあるのではないでしょうか。

 記者I 欧米であれば、個人のキャリアが評価され、重視されるものですが。日本企業にはまだ欧米との文化の違いというのが、どうしてもあるのだと思います。しかしそういう環境だと知っていながら取得を目指し、ほとんどの方が通学することに満足を示しているあたりに、MBA取得の魅力を見出せそうですね。

(つづく)
【文・構成:黒岩 理恵子】

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