福岡市が7月24日から無料配信を開始した、スマートフォン用のまち歩きアプリ「福岡歴史なび」。福岡市内の歴史スポットをめぐるコースをナビゲートするとともに、人気ゲーム「レイトン教授」シリーズのキャラクターがアプリ上で文化財の案内やクイズを出題するなど、楽しみながら福岡市の歴史を知る内容となっている。担当する福岡市経済文化観光局の文化財保護課によると、ダウンロード数は2カ月で約6,000。反応はまずまずといったところだが、取材のなかで見えてきたのは、市に貢献する地元企業の美談であった。
「レイトン教授」シリーズは、数々のヒット作を世に送り出してきた(株)レベルファイブ(本社:福岡市中央区、日野晃博代表)の代表作の1つ。そのキャラクターが登場することで、「福岡歴史なび」も同社が手がけたとして、「多額の費用がかかったのではないか」と懐疑的に見る向きもあったが、同アプリを制作したのは別の会社。同社は、「レイトン教授」シリーズのキャラクターの使用を無償で承認したという。
福岡市への情報公開請求で開示された文書によると、同アプリの制作にかかった費用は746万250円。iPhone用とAndroid用の2つが作られた。担当職員の説明では、プロポーザルで制作会社が決まった後、よりアプリの魅力を引き出すため、レベルファイブに「レイトン教授」の協力を依頼したという。福岡市の活性化のために協力する、まさに地元優良企業である。ちなみに、アプリ開発の前に、まち歩きのコースの検討を民間に委託しており、こちらは見積もり最安値の193万2,000円。同アプリに、計約940万円がかかっている。
また、この企画は、経済文化観光局の新設にともない、教育委員会から移動してきた文化財保護課職員のアイディアから始まったという。福岡市の歴史に詳しくない若年世代で急激に進むスマートフォンの普及をとらえ、紙の配布物のように費用がかさむことはない。日頃のシステム運用も市職員で行なっており、不具合や改善事項があった場合のみ、制作会社に依頼するとのこと。担当職員は、「より多くの市民と観光客の方に、福岡市の歴史を知っていただきたい」と意欲を語る。
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