<「既成概念を壊せ」>
競争力を高めるために、三木谷社長は、「エネルギーコストを30%削減すべき」と、エネルギー効率を高めることを条件の一つに挙げた。
国家を運営するにあたって、どれだけ安いコストで最高のインフラを提供できるかどうか。そのために、現在、日本にある"つまらない規制"を積極的に解除すべきと持論を展開。たとえば、アジアなど外国からの観光客へのビザ発給の条件が厳しいことや、プロ野球などスポーツにおける外国人枠、カジノ規制、娯楽に対する風営法などにも、若者が楽しめない規制が多いと主張。これらの古い体質の規制を撤廃することで、日本の海外からのイメージが向上したり、観光客を呼び込むことにつながったりすると指摘した。
<英語教育の充実を>
楽天では、社内での公用語を英語に設定しているが、三木谷社長も20日の会見では、外国人記者たちを前に、すべて流暢な英語で受け答えを行なった。
「日本人のスピーキングスキルは、同じアジアの中国、韓国に比べても低い。英語教育を変えていくべきだ」と、グローバルに戦っていくために特に英語の教育改革の必要性を説いた。
たとえば、シンガポールは、公用語に中国語ではなく、英語を選んだことで、国土は小さい国ながら、金融立国を成し遂げ、グローバルな企業の本社誘致に成功している。
首都・東京でもグローバルな企業の本社誘致に積極的に乗り出せば国益につながる。2020年の東京五輪開催をきっかけに、英語教育の充実はさらに必要性を増すだろう。7年後の東京五輪開催が決定し、上昇ムードの感じられる日本経済。三木谷社長は、前回の1964年の東京オリンピックの次の年の65年生まれ。「東京は、古い都市になりつつあるので再構築されなければならない。メトロポリタン東京に向けて、ビッグチェンジが必要でしょうね」と、7年後に向けて、首都・東京とともに、日本も変革を遂げなければならないことを力説した。
新経済連盟を立ち上げるなど、日本の競争力強化実現のために積極的に問題提起を行なう三木谷社長。主に大企業により組織されている経団連とは違う立場で提言を続けているが、新経済連盟の所属団体、所属企業に有利になる提言ばかりでは、日本は変わらない。IT時代の寵児として活躍しているが、規制や古い概念を根本から取り払い、日本に変革をもたらすことはできるのか。
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