<富士山に登るのは止めようと呼びかけています!>
――世界文化遺産となった富士山の今後について、223(フジサン)フェローとして、どのようにお考えですか。
ロッキー田中 今年は世界遺産になったおかげで、登りたい、マスコミは富士山を丸裸にして楽しみ尽くしたい、水の業者は、水"汲め、汲め"作戦で販売シェアを獲得したいという人間の欲望が渦巻きました。その結果、富士山は疲れ、この夏は、かってないほど、我々の前に姿を見せていません。嫌がって雲に隠れていました。
今後は、世界文化遺産という"お墨付き"を上手く使い、入山規制、節度ある観光、マイカー規制、水を汲み上げることの自粛に私もお役に立てたらと思っています。私は「世界遺産の富士山に登るのは止めよう!」ということも呼びかけています。「霊峰富士」に人間が対峙するあり方は、古から今まで「遥拝」というのが正しい姿なのです。弾丸登山等で環境破壊促進に加担するのはもっての他です。富士山は年間5万人以下であれば再生能力があります。しかし現在の登山者は約30万人です。
<空が移ろいゆく一瞬の中に貴重な宝があるのです!>
――「ときめきの富士」の写真家としての今後の活動に関してお聞かせ頂けますか。
ロッキー田中 「ときめきの富士」は生涯99作と決めて現在91作まで完了しました。99作目を私が完成するのが早いか、富士山が噴火するのが早いかは天にお任せしています。
地球温暖化は私の写真にも大きな影響を及ぼしています。自然の劇的なシーンが極めて出にくくなりました。私は、中学校の頃、日本は亜寒帯に属すると教えられましたが、今はまるで亜熱帯の様です。経済活動や合理的で快適な生活を追求した結果、もの言わぬ大切な自然の営みを失って来た気がします。
例えば、多くの方は子供の頃に空いっぱいに広がった夕焼けの記憶があると思います。ところが、今では夕焼けは一瞬の出来事で、しかも極めて狭い範囲で、低い位置でしか見られません。天空の温度と中空の温度と地表の温度の差が狭まってきたからです。
日本に春夏秋冬の四季の変化がなくなってきました。明確な季節の変化、温度の変化、朝夕の寒さと日中の暑さの温度差もなくなり、色が出にくくなっています。いつも同じような色で、ぼやっとした色しか出なくなってきています。
私は、今まで多くの劇的な写真を撮ってきました。しかし、これからは、富士山の周りの空が移ろいゆく貴重な一瞬を見つけるのが私の仕事になると思っています。この微妙な移ろいゆく変化の中に宝ものがあります。
――新刊本の出版予定があるとお聞きしています。最後に直近のご予定に関してお教え下さい。
ロッキー田中 10月に新刊写真集「富士山 四季のいろどり」と毎年恒例の「ときめきの富士カレンダー」が発売開始致します。10月12日(土)~13日(日)は「第19回武蔵嵐山志師塾」(国立女性教育会館、埼玉県武蔵嵐山)で講演をします。赤峰勝人氏(「なずなの会」主宰)、鈴木中人氏(「いのちをバトンタッチする会」主宰)、作家神渡良平氏とご一緒です。自然の中で心を開き、命が呼応する感動の2日間を演出します。ぜひ足をお運び下さい。
――本日はありがとうございました。
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<プロフィール>
「ときめきの富士」の写真家 ロッキー田中氏
福井県生まれ。1999年アテネ市世界芸術展大賞、2001年マスターズ大東京展最優秀作家賞、2003年第35回新院展に於いて「天空に舞う」が文部科学大臣賞受賞。「富士山を世界遺産にする国民会議」評議員(2005年~13年)、同223フェローメンバー。著書として「ときめきの富士DVDブック」(評言社)、「誰も見たことのないときめきの富士」(飛鳥新社)他多数。TV出演、新聞、雑誌の取材等多数。東京都品川区に「ときめきの富士アートサロン」、山梨県富士吉田市に「山のアトリエ」を開設。富士山に心を寄せる人のオアシスとなっている。
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