中国の祝祭日は、その年の「旧暦」に左右される。基本的には、新暦の1月1日の「元日」、旧暦の正月の「春節」、4月上旬の「清明節」(祖先の墓を参り、墓掃除する日/日本の「お盆」にあたる)、5月1日のメーデー(「労働節」)、旧暦5月5日の「端午節」(端午の節句/ちまきを食べる風習)、秋の「中秋節」、10月1日の「国慶節」(建国記念日)だが、旧暦の並びによっては「国慶節」と「中秋節」の時期が重なり、まとまった休日になることもある。
「春節」は家族で新年を祝う行事で、前後数週間は学校も会社も中国国中が休みになる(台湾も同様)。家族でご馳走を食べ、寺に参り、新しい年を祝う。春節が近づくと、街では「福の神」「家族安全」などと縁起の良い文字が書かれた札が販売。札を門に貼っておくと、家に「福の神」がやってくると言われる。子供はお年玉をもらい、好きなものを買って休日を過ごす。
「中秋節」も中国の古くからの伝統行事の一つだ。9月の満月の日に「月餅」という菓子を食べながら月見を楽しみ、遠くに離れて暮らす家族、親戚、友人のことを懐かしむ。
月餅は、中国大陸を旅行する客には「定番」の土産物だが、日本人の口に合わないことも多いため避けられることもある。また、製造過程で大量の「ラード」を使うためカロリーが高く、最近の健康志向の高まりから、中国人にすら敬遠されがちだ。日本人が買う土産物として台頭してきたのが「天津甘栗」。最近は、栗の味を好むも、「皮」を剥くのを面倒くさがる日本人のために「剥いた栗」の販売も増えている。「甘栗チョコレート」や「甘栗クッキー」など、日本人をターゲットにした「派生商品」も天津のみならず北京や上海の空港に並ぶ。
中秋節が近づくと、街には金魚など、様々な動物をかたどった提灯が売られる。お菓子屋には「満月」をかたどった月餅が並び、町は買い物客でごったがえす。中秋節は、秋の満月の日、公園や広場には「月見」を楽しむ家族の姿が見られる。子供達は提灯を持ったり、小さなろうそくでやみを照らしたりしながら月見を楽しむ。
「国慶節」は、中国人民政治協商会議で定められた、中華人民共和国の建国記念日だ。1949年10月1日、天安門広場で、毛沢東によって中華人民共和国の成立が宣言された「中華人民共和国」建国式典の開催日に由来する。中国ではこの日をはさむ約1週間が大型連休となる。
台湾にも、中華民国の「国慶節」がある。1911年10月10日に発生した「武昌起義」(中国・武昌で起きた兵士達の反乱。清朝が打倒され中華民国が立ち上がる「辛亥革命」の幕開けとなる事件)を記念している。福岡でも10月になると、中華圏や国外のネットワークの中では、政財界から要人を集め、それぞれの「国慶節」にちなんだパーティが開催される。日本の政財界からも来賓が招かれるが、中国大陸と台湾で、開催日時と、「国慶節」が指す事柄が異なるため、双方に出席する要人にとっては、混同しないよう「注意」が必要となる。
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