経済産業省の試算によると、買い物困難者は全国に600万人といわれる。中山間地域で高齢化や過疎化が進み、買物が困難になっているというのは想像しやすいが、実は都市周辺にも広がっている。かつてニュータウンや新興住宅地として宅地化された都市周辺でも高齢者夫婦や一人暮らし世帯が増加。人口減や郊外型ショッピングモールの出店により、旧住宅街でスーパーや商店が撤退したり、商店街が衰退したりするなど買物が不便になっている地域が増えている。
<民間の参入促す>
北九州市は政令都市のなかで最も高齢化率が高く、日々の買い物に不安を抱えた高齢者も多い。そこで8月、北九州市は高齢者の人口分布とスーパーやコンビニなどの位置を重ね合わせた市独自の「買い物環境マップ」を公表した。買い物困難者の多い地域を赤く色づけしている。これにより、同市は民間業者の出店や移動販売への新規参入を促すねらいだ。
マップ作成までのヒアリング調査で、すでに小売店の商品配達、ネット販売、地域での朝市の開催など買い物支援が広がりつつあることが確認されたが、支援を必要とする市民に情報が届いていないことがわかった。今後は買い物支援に係る情報を集約し、パンフレット作成やホームページの開設を行ない、情報発信を進めていく予定だ。
マップ公表から約1カ月。同市保健福祉局によると、出店を計画するスーパー経営者や移動販売を検討する業者などから問い合わせがあったという。今回の取り組みが買い物支援の推進につながり、参入企業にとっては潜在需要を掘り起こす契機になることを期待したい。
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・北九州市 買い物環境マップ
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