「日中友好のシンボル」として、長崎県・市が共同で進めている「孫文・梅屋庄吉と長崎近代交流史常設展示室(仮称)」の整備に向けて、設計・施工の受託業者がどこなのか注目が集まっている。
常設展示室が整備される「旧香港上海銀行長崎支店記念館」(長崎市)が10月から整備のために閉館するというのに、正式発表がないからだ。
常設展示室の設計・施工業務は、公募型プロポーザルの募集が2013年4月、実施された(13年4月4日公告、提出期限は5月8日まで)。プロポーザルは価格競争だけで業者を判断するのが適切ではない場合に、受託希望者に提案書を出してもらい、提案企画力のある者を選定する方法だ。今回のプロポーザルでは、過去10年間に展示面積800平方メートル以上の博物館等の展示設計・施工の元請実績を5件以上持つなど、参加業者には高い条件がつけられていた。
同記念館は、国指定重要文化財であり、建物本体や天井・床などの変更や改修に厳しい制約があるうえ、展示を予定している孫文と梅屋庄吉の資料の展示には、資料を傷めないように温度・湿度・照度・空気・紫外線などを管理する高度な技術が求められる。博物館・美術館の展示の設計・施工に豊富な経験を持つ業者であることは間違いない。
長崎県文化振興課はNET-IBの取材に対し、選定委員会が5月10日に開かれ、第1候補者(最優秀プロポーザル提案者)を決定し、中村法道知事に答申していると述べている。あとは、知事が委託業者を決定し、随意契約する流れだ。プロポーザル募集要項によると、最優秀プロポーザル提案者と契約予定。契約金額は、上限1億3,000万円とされている。
プロポーザルでは、展示ケース、映像・グラフィックスなど展示方法のプレゼンテーション(ヒヤリング)も実施されており、それから4カ月以上たつ。整備着手が目前であり、展示内容の具体化は進んでいるとみられ、常設展示室がどのようなものになるのか関心が高まっている。
関係者の間では、受託業者は周知の事実であり、あとは発表を待つだけの状態だ。受託業者は、NET-IBの取材に対し、受託の事実を認めたうえで、展示内容や今後の施工スケジュールなどについて、「守秘義務契約があるのでお話しできない」と答えている。
「孫文と梅屋庄吉」プロジェクトのスタートは、2011年。同2月8日、「孫文と梅屋庄吉」発信プロジェクト推進協議会第1回会合が開催された。同年10月から半年間、長崎歴史文化博物館で特別企画展「孫文・梅屋庄吉と長崎」が開かれるとともに、常設展示館の検討が打ち出された。常設展示あり方検討委員会、常設展示整備構想策定委員会の審議を経て、13年3月、整備基本構想がまとまった。常設展示室は、「県民、市民に開かれ、国内はもとより、中国をはじめ東アジアの要人も訪れる友好のシンボルとなる施設」とされている。
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