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原発汚染水問題の背景に日本的組織の"失敗の本質"(6)
政治
2013年9月30日 07:00

<日本的な"失敗の本質">
osensui_tanku.jpg 「戸部良一さんらの書いた『失敗の本質』(中央公論社、戸部良一、寺本義也ら共著)に書いてあるような日本の悪しき組織構造が、今回の汚染水問題の至る所に見られる」と飯田氏は、日本特有の組織構造に失敗の要因があったと分析する。
 「失敗の本質」に挙げられている組織の問題点を今回の汚染水問題に当てはめてみると、次の4つの組織的な構造の問題点が挙げられる。(1)東電の現場の作業員たちは、高いモチベーションで活動しているが、その現場をうまく活用し、中長期的戦略を描ける能力のあるリーダーが少ない。リーダーシップに欠ける。(2)日本の組織は、リスクを過小評価、あるいは、都合の悪い情報を隠ぺいし、被害を増大させることがある。組織や議論の場の透明性が低い。リスクを隠しても、問題自体はなくならない。先送りすれば、被害は大きくなる。(3)日本人は、"型"を改良したり、改善したり、技術を練磨することは得意だが、その"型"を根本から作ったり、一度壊し、大改革することは苦手。(4)"空気"が場、組織を支配することがある。決定、実行されようとしている事項が仮に間違いであっても、場の空気に流されてしまうことがある。組織の中の人が間違いであることに気づいていても、場の流れで、間違いが継続されることがある。
 日本は、技術力で世界的に高い評価を得てきたが、組織的には今回の(1)(2)(3)(4)に似た要因が絡み合って、失態をしてしまうことが何度かあった。組織構造の抱える問題点を解消していかなければ、今回の汚染水問題も抜本的な解決のゴールは見えてこない。

<エネルギー政策の未来>
 日本の持つ"負"の組織構造を根本から改革していけるかどうか。このことは今後のエネルギー問題にも関わってくる。エネルギー政策においても、上記(3)のようにこれまでの"型"を守るのか。空気を断ち切り、原子力発電に見切りを付け、持続可能な新エネルギーを探す方向に向かえるのか。分岐点にある。
 「エネルギー政策は、マイナスかつ過去にさかのぼる方向にブレている。持続可能な自然エネルギーを模索するプラスの方向に持っていかなければ。原子力政策のあり方、エネルギーのあり方を、一部の人間で決めようとせずに、きちんと議論すべき」と飯田氏は言う。
 今、一つのルールが閉じられた場で決められようとしている。経産省は、電力会社がきちんと積み立ててこなかった廃炉費用や、あろうことか福島原発事故の収束費用を「廃炉費用」と称して、ドサクサ紛れで電気料金に転嫁できるようするためのルール変更をしようとしている。
 「わずか2回のワーキンググループの議論でで改"悪"されようとしている。細かいけれど、非常に重要なところが、こっそりと変えられようとしている。国民との間で合意を形成してからやるべきこと。今後のエネルギーのあり方が、国民の声とは遠い裏側で動かされようとしている」と、飯田氏は危惧する。
 大飯原発が定期点検により停止し、原発稼働は現在ゼロになっている。今後、原発ゼロのままで行きたいという国民の声は存在するが、きちんと議論されたすえに決定されるのか。上記(2)の部分の、議論の場や組織の透明性を高めることが、失敗へと続く流れを断ち切り、今後の未来を作ることにつながるのではないだろうか。

(了)
【岩下 昌弘】

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