福岡市職員の飲酒不祥事がまた発生した。今回は、市の外郭団体に出向中の男性職員。仕事帰りに酒(生ビール中ジョッキ3杯、カクテル2~3杯)を飲み、駅から自宅までの間、ミニバイクに乗ろうとしたところを福岡県警のパトカーに呼び止められ、呼気検査の結果、酒気帯び運転の疑いで摘発された。本人は、飲酒運転したことを認めているという。
福岡市では、2006年8月25日に、幼い子ども3人が亡くなった「福岡海の中道大橋飲酒運転事故」が発生。事故を起こしたのは飲酒運転をしていた福岡市の男性職員(当時)であった。以来、官民一体となって取り組む飲酒運転撲滅キャンペーンが展開されているのは周知の通り。とくに、監督責任がある福岡市においては、組織をあげて対策に取り組んだが、その後も、酒がらみの不祥事は絶えない。
2012年5月、飲酒に絡む市職員の事件を受けて、髙島宗一郎福岡市長が実施したのは、1カ月間の「自宅外禁酒令」だった。市民の間では賛否両論。「市職員の問題なのに、市民がしわ寄せを受けるのは理不尽。『飲んだら乗るな』という問題の本質からズレている」などと集客減の影響を受けた飲食店関係者から不満が続出した。結局のところ、その後も、市職員の飲酒不祥事は断続的に発生しており、今となっては「成果なし」で地元経済を苦しめただけ、と言われても仕方がないだろう。ちなみに13年3月に酒気帯び運転で逮捕された市男性職員は、"自宅で"焼酎1リットルを飲酒し、車を運転していた。
新しく発覚した飲酒不祥事に対し、市は「懲戒免職も視野に処分を検討する」などとしている。問題を起こした職員に対しての厳罰は当然と言えるが、今後の防止策については打ち出せていない。髙島市長が"効果的な対策"だったと言うなら、再び「禁酒令」を発動するしかあるまいが――。
※記事へのご意見はこちら