<人気に拍車>
もともと、豊洲、勝どき付近は、銀座、有楽町、大手町など都心への近さ、住みやすさ、海沿いの眺望の良さなどで、人気のエリア。晴海地区に選手村が入ることで、今後、ショッピングモールなど大規模な開発がなされ、街並みが変わることが予測される。
地元の不動産業者によると、オリンピック開催が決定してから、それまで動かなかった物件が不思議なくらいに動き始めたという。中央区にある不動産業者の営業担当者は、「開催決定を契機に問い合わせが増え始めて、9月後半に入り、問い合わせや見学が殺到して、実際にその場ですぐに購入する方も増えています。3連休は休みがなかったぐらい。五輪開催が決まってから、東京全体で不動産の状況が動き始めたと思いますが、とくに、勝どき付近の中央区の物件の動き方が激しいですね」と語る。
選手村も含め、中央区に都市開発の重点が置かれていることもあり、この付近でマンション購入を検討していた人たちは、購入を急ぐケースが増えている。
<一部、投機的な動き>
住宅用に購入するケースとは別に、投資用に、投機的なマネーが入ってきている。地元の業者によると、9月中旬の連休に、千葉県から地主が見学にやってきて、現金で5,000~6,000万円の物件を数棟購入していったという。賃貸マンションを借りようと検討しているサラリーマンたちは、銀行のローンの審査をやり終えるのに、通常3~4日かかる。審査待ちの列をキャッシュで追い抜いて買っていくケースが、ちらほら見られるという。
「銀行の審査はスムーズにいっても2日ほどかかってしまう。売ろうと思っているオーナーにとってはキャッシュで入ってくる方がいいので、どうしてもキャッシュの方が早い。ここ数日、ローンで購入しようと考えている方たちを、キャッシュを持っている不動産投資家たちが追い抜いて購入していくケースが増えています」と、立地、眺望など条件の良い物件は、投資家たちによる争奪戦になっている。「以前から買おうと思っていた人は、見学に来て、その場で契約する人が多いですね。好立地の物件に関しては、眺望がどうとか言っているヒマはないほど。ヒートアップしていると思います」と、五輪特需は熱気を帯びている。
※記事へのご意見はこちら