9月30日と10月1日の両日、福北連携25周年記念行事が、北九州市で開催された。福北連携は、1987年の九州北部活性化推進協議会「中小企業サミット'87」における「玄海宣言'87-地域生命体としての福北」を契機に発足したもの。福岡と北九州との連携によって生み出すエネルギーを「地域生命体」と捉え、これにより地域活性化を図ることが目的とされる。今年は北九州市制50周年と重なったこともあり、福北連携・四半世紀の歩みを踏まえて北九州・小倉での開催となった。
前夜祭と位置付けられた初日は、リーガロイヤルホテル小倉で特別講演や交流懇談会が催された。特別講演に立った九州大学の有馬節夫総長は、『都市と大学』と題して九州大学における人材育成の取り組みを紹介。人口減少社会における福北300万人経済圏構想の意義についても話が及び、都市として優秀な人材を呼び込むことの重要性やその方策案など、学窓からの提言も盛り込まれた。
翌10月1日には、北九州国際会議場で基調講演とパネルディスカッションを実施。石原進氏(福岡経済同友会代表幹事、九州経済フォーラム会長)をコーディネーターに、福岡・北九州で活躍する各界の識者をパネラーに迎え、『我が国を代表するアジアに向けての一大拠点都市構築に向けて』と題した議論が行なわれた。議論を総括した石原氏は、「真剣に福北大都市圏を考える時期にきている」「大企業頼みや中央の政治頼みという福北の現状を変えなければ、この地域は衰退するだけだ」と、強い口調で危機感を表明。福北連携を強力に推し進める姿勢を鮮明に打ち出し、25周年記念行事を締めくくった。
福北経済圏構想は、ややもすれば低迷のなかにある北九州寄りの意見と捉えられがちだが、福岡とて、人口減少社会に伴う衰退を近い将来の不可避の現実として内に抱えている。むしろ、「ものづくり」の技術が都市基盤を底支えする北九州よりも、ソフトで成り立つ福岡の方が、人口減少の煽りを大きく受ける可能性が高いとすら言える。
来たるべき地方分権社会では、地方に大きな裁量が与えられる半面、「地方切り捨て」とも評される「衰退の自由」をも運んでくるという。2つの大都市を含む北部九州地区が、今後も持続可能な地域であり続けるためにも、福北連携は喫緊の課題として取り組まれるべき問題であるように思われた。
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