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ミャンマー視察報告(3)~ミャンマー経済の今を映すミンガラドン工業団地
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2013年10月 2日 17:39

 ミンガラドン工業団地は、ヤンゴン中心部から北東20kmに位置する。国道に隣接し空港やミンガラドン駅までのアクセスに恵まれる。
 工業団地の事業主体には三井物産が60%、残りをミャンマー政府が出資して発足した。施工は三井建設。1998年2月に竣工させた設備は電力、工業用水、汚水処理、国際通話回線などを網羅した堂々たる国際水準工業団地だ。1区画1~4haの分譲地が41区画。契約者は2048年まで土地使用することができる。

 完成した98年といえば前年にASEANに加盟したばかりでアウンサン・スーチー氏の軟禁も継続されている。三井物産はこうした時期に同国に工業団地の概念を持ち込んだ。直面した苦難は察するに余りあるが、実を取ることなく2006年に撤退している。
事業主体はミャンマー政府100%資本を経て現在はシンガポール資本が11%あまりを保有する。
 事業会社によると06年~07年にかけての契約者数は41区画に対し14区画しかなかったという。この時期民主化運動が停滞するなか06年10月に首都機能がネーピドーに移された事が発表されている。三井物産の撤退は翌月。ところが翌年からせきを切ったように民主化が始まり一躍「最後の未開拓地」に躍り出た。
 ミンガラドン工業団地は10年~12年にかけて残りの区画が全て埋まってしまったという。ただし、多くは契約したのみで更地の状態で、操業のタイミングを見計らっているという。入居もしていないのに家賃だけ払っている売り手市場ということになる。

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 こうして見ると実利を売る直前、三井物産は紙一重のタイミングで撤退している。現在日系企業を始め香港、シンガポール、韓国、台湾、フィリピンなどが入居。衣類、電子部品、食品などが製造されている。仮に三井物産が踏みとどまっていたならどうなっていたのか。日系企業で埋め尽くされることはなかっただろうが、今とは違った形になっていたかもしれない。
ヤンゴン市内に工業団地は約30まで増えたとされる。良質の労働力の取り合いが本格化している。

(つづく)
【鹿島 譲二】

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