県政史上2番目の若さで第63代福岡県議会議長の要職についた自民党県議団・松尾統章(まつお とうしょう)県議会議員。将来を嘱望されるホープとして、激変時代のなかの福岡県をどのように見ているのか。今回は、議長と県議と、2つの立場から『志』と『福岡への提言』についてインタビューした。
<道州制と県政課題への取り組み>
――道州制についてうかがいます。
松尾議長 粛々とやっていかなければいけないという感じがしています。私も選挙において「道州制」と言って当選してきました。「道州制」に光が当たりだしたのは、橋下徹大阪市長が注目されだしてからだと思います。『政治家は、中長期的に批判されようとも、百年後に評価されればいい。大衆迎合するものではない』というのが私の信条です。「九州の自立を考える会」(注)ができたときは、道州制の議論がものすごく盛り上がった頃でもありました。そして今それが機能しています。橋下さんの発言問題の後、道州制が忘れ去られていくようなイメージを皆さん持っているかもしれませんが、「九州の自立を考える会」で活動することにより、注目されるかどうかは関係なく、粛々と道州制の議論を進めていきます。議員、首長、財界も含めて、これからまた盛り上がるという予感はあります。
――末吉氏は、道州制について、地に足がついた議論をしなくてはいけないと話されていました。具体的に、暮らしがどのように変わるとか、たとえば税金が安くなるなど、イメージが湧くように伝える工夫が必要だと思います。
松尾議長 わかります。リニアコライダーと同じ話ですね。成果が表れると言うよりは、「1万人の人が定住してまちができて活性化しますよ、投資ができますよ」と言ったほうが、みなさん納得する。同じように道州制もそうかもしれませんね。今、どうしても玄人同士というか。山下さんみたいによく政治を見ている方は玄人の目になっていますよね。私たちもそういう目になってしまっています。二重行政だうんぬんと言っても市民の方々にはわかりにくい。それはあくまでも玄人の議論であって、それを私たちは噛み砕いて話をしていかなければなりません。
――最後に、福岡県政が抱える課題をあげるとすれば何でしょうか。
松尾議長 麻生県政時代、産業政策に非常に力を入れており、県議会としても基本的に支持していたのですが、まだ先端産業の育成とか産業構造の変革はその途上。中小企業、商店街にその効果がおよんでいないと我々は見ています。雇用創出やその支援を求める方への支援も不足しています。この間70歳以上の生涯現役応援センターができましたが、要は、仕事だけではなく、NPOも含めて70歳以上の人が社会に関わる仕組みが大事です。今までハローワークに行ったら仕事だけの紹介でしたが、NPOでもボランティアでも紹介します。社会に関わる高齢者の方は元気です。一方で、雇用創出やその支援を求める若年者の数値が高い状態が続いています。
それと農政問題への取り組みも弱いと思います。TPPのことは、県議会でズバッと「慎重にやれ」と言っているのですが。それから地域医療では医者の偏在ですね。加えてネットワークができていない。あとは環境問題。今年、PM2.5が言われていますが、平成19(2007)年に環境オキシダントや光化学スモッグが問題になった時、国が中国・韓国とネットワークをつくっておけば、PM2.5が来たときにすぐに対応できたはずです。それは県レベルでもできたと思うのですが、でもオキシダントの話が1~2年で終わってしまい、そのネットワークができないままで終わってしまった。だから今からバタバタしています。さまざまな政治課題を解決していくためにも、まず、1つ1つを県民の皆さまにわかりやすく伝え、まず、コンセンサスを得ることを心がけたいと思います。
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(注)真の地方分権型社会の実現を目的として、会派・政治的理念を超えて九州の成長と自立に向けた政策・戦略を研究するため、福岡県議会議員が中心となり、県内の首長、九州各県議会の議員有志、九州の主要企業、団体などを会員として2011年9月に設立された。代表者は藏内勇夫自民党県議団会長。
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