<オーナーは今後、強気に>
需要側の過熱気味の状況を見て、供給側は強気になれる。近々、分譲されるタワー型高層マンションのモデルルームの見学・申し込みが五輪開催決定後急増しており、契約数も目に見えて増えているという。高層マンションの建設は晴海地区付近で6棟ほど計画されており、これから分譲される新築マンションは、まだ価格発表はされていないが、売る側はかなり強気に出てくることが予想されている。
勝どきにある不動産業者は、「中古も含めて、強気のオーナーは、2割3割増しで乗せてくるでしょう。たとえば、現在、3LDK、5,000万円の物件なら、6,000万円あたりまで上乗せしてくるのではないでしょうか。新築なら、価格発表とともに思い切った価格を付けてくる業者も出てくるのでは」と分析。晴海地区は、交通の便のいい豊洲、勝どきに比べると、これまで高騰するケースは少なかったが、今後、価格が上昇することを予測していた。
<実需では横ばい>
一方で、実際に住む用に借りる賃貸マンションの実需では、これら投資家による争奪戦を過熱しすぎと見る向きもある。賃貸住宅を多く扱うほかの不動産業者では、それほど大きな動きはないという。「まだ賃貸で目立った動きは少ないですよ。晴海付近の街並みが変わり始めるのは、もう少し先ですし、今後、人口が減ってくることと、この付近では新築の供給量も多いので、賃貸で言えば、五輪決定後に大きく動いたということはない。動き出すのは開発がもう少し進んでからか、賃貸では、それほど動かないのではとも思っています」と、ヒートアップする不動産投資家たちを冷静に見つめる。
投資マネーは入ってきているが、実際に住むために購入したり、借りたりする実需は、激変とまではいっていない模様。「ただ、購入することを考えた場合、継続して人気があるエリアですし、子育てもしやすい環境ですので、失敗しにくいエリアであるのは間違いない」と語った。
20年夏には国際的なトップアスリートたちが集う晴海地区。湾岸エリアは、2020年までにどう変わるのか。「おもてなし」にふさわしい街並みに変わり、防災、エネルギーなどの面で、次世代につながるオリンピックレガシーとなれるのかどうか。
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