ヤンゴン滞在中に交通整理する警察官を２度ほど見掛けたが、軍関係者はほとんど見かけなかった。首都機能をネーピドーに移管したとはいえ600万人の大都市に軍事政権の面影がなかったのは意外だった。どうやら一般人の姿を装い街に溶け込んでいる軍人もいるようだ。

　それにしても最大の市場ボーヂヨーアウンサン・マーケットには2,000以上の店がひしめく。露店員などの商魂たくましさを見れば、格段の民主化の進捗を感じる。その象徴アウンサン・スー・チー氏は、当然ながら2015年に予定される大統領選の有力候補となっている。スー・チー氏の自宅そばにアメリカ大使館がある。かつては別の場所にあったようだが、いわゆる反政府デモの後に移したという。また、市内各所にはスー・チー氏の父のアウンサン将軍の銅像が建立されている。現大統領のテイン・セイン氏政権以前の軍事政権時代から、民主化を力強く訴え活動してきたこの一族の人気は高い。

　ところがすんなり同氏で決まりという訳ではないらしい。あるミャンマー人は「市民は現在の経済発展を素直に喜んでいる。更なる成長を充分に期待させる。」と現大統領テイン・セイン氏を高く評価する。スー・チー氏が当選すれば更なる民主化が大きく前進することは明白だが、テイン・セイン氏は「クリーンな若手をどんどん登用しているイメージがある。」と現職は経済に加え政治面で評価が高い。「市民は迷っている」
　世界的な知名度のスー・チー氏も安泰ではないようだ。

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