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たかがオリンピック、されどオリンピック!(中)~原田泰氏に聞く
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2013年10月 5日 07:00
2020年東京五輪「私の想い!」シリーズ
 

<公共事業はすでにやり過ぎです!>
 ――オリンピック開催にともなう経済効果について、エコノミストとしてのご意見は如何ですか。1964年と比較してお話頂けますか。

 原田泰氏 気分高揚や日本の国際的地位向上の問題と経済的効果は分けて冷静に考えるべきでしょう。「たかがオリンピック、されどオリンピック」です。

harada.jpg 今、巷では東京都の試算3兆円とか民間の試算150兆円とかいう言葉が飛び交っています。確かに、建設業などは活気を呈すと思います。しかし、私は、「2020年東京五輪」そのものが、言われているような大きな経済効果をもたらすとは思いません。

 自民党の安倍政権になってから、公共事業が増えました。オリンピックで、東京都は5,000億円の公共事業支出を予定しています。東京都の試算では、これに上積して経済効果3兆円という数字を出しています。しかし、ここには「何かをやると、何かができなくなる」というごく当たり前の考え方が欠けています。

 すでに建設資材や建設労働者の労賃は上がり、建設業で働く若い人はあまり育っていないので、いくら公共事業を増やしても対応が難しい状態になっています。今のままでオリンピックに取りかかれば、間に合わなくなることはないと思いますが、費用は上がります。

<人や車の通るインフラが整備される>
 でも、ましな事もあります。それは「人や車の通らない」インフラでなく「2020年東京五輪」関連で整備されるインフラのほとんどは、このところの公共事業に比べれば、使われるインフラになるからです。

 公共事業に無駄があるのは、国民がよく知っている通りです。しかし、今回予定されている羽田空港の整備、羽田と成田間の交通網の整備(羽田~東京<18分>、成田~東京<36分>)などは多くの国民が歓迎することだと思います。海外から来た外国人が国内旅行をすることを想定すれば、今まで整備しなかったことがとても不思議なことでした。しかし、今回は政治家も役人も関係者は待ったなしにこの事業を推進していくことになります。

 「1964年東京五輪」では、とても効率の良いインフラを整備することができ、その多くが国民の役に立ち、十分、採算の取れるものでした。ただし、現在とは時代背景が大きく異なります。新幹線も、高速道路も、国立競技場もありませんでした。外国人が泊まれるホテルもほとんどありませんでした。
 その後日本経済が発展していくためには、国家として当然作らなければいけないものばかりでした。その時期とオリンピックが重なったのです。

 さらに言えば、当時は水洗トイレも整備されていませんでしたし、外国人観光客が乗ると思われたタクシーのマナーも悪かったのです。すべてのことが1964年東京五輪効果で改善されたと記憶しています。

(つづく)
【金木 亮憲】

≪ (前) | (後) ≫

<プロフィール>
harada.jpg原田泰(はらだ ゆたか)
1950年生まれ。
1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、ハワイ大学に留学(経済学修士)、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長、大和総研専務理事チーフエコノミストなどを経て、現在早稲田大学政経学部教授兼東京財団上席研究員。
著書は、『震災復興-欺瞞の構図』『日本はなぜ貧しい人が多いのか』『世界経済 同時危機』(共著)『日本国の原則』(石橋湛山賞受賞)『人口減少社会は怖くない』(共著)『昭和恐慌の研究』(岩田規久男氏他共著、日経・経済図書文化賞受賞)『都市の魅力学』『日本の失われた十年』『日米関係の経済史』など多数。


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