コストコの奮闘により、近年は好調が指摘されていたトリアス。ところが、ここへ来てテナントなど複数の利害関係者との間で、軋轢が生じていることが判明した。関係者の怒りの矛先は、物件を保有し実権を握るファンド・ラサールインベストメントマネジメント(日本法人はラサール不動産投資顧問)に向かっている。近隣への相次ぐ商業施設の出店など、事業環境は年々厳しさを増している。生き残りへ向けて、テナント・ファンド・運営会社の一枚岩での取り組みが不可欠だが、日ごとに溝は深まっている。
<運営会社変更にともなう透明度低下が不信感招く>
「見てください。こんな状況です」――9月、あるテナント経営者は駐車場に目をやった。この2年間で来場者が急速に減少し、体感ベースで約4割減におよぶという。別のテナントも、この間の集客減を約4割弱と見る。
だが、運営会社の報告によれば、2011年度は通年で客数の落ち込みを4%に止め、売上は5%の増収を遂げたことになっている。これについて先のテナントは「モール内を歩く人ごみや自社の売上などを鑑みればすぐにわかる」として、「運営会社が報告する売上や来場者は実態とかい離している」と感じている。
こうした不信感を招いていた背景には、11年4月から5月にかけて運営会社が変更され、運営手法が変わったことが挙げられる。「確実な集客が見込まれるキャラクターショーが激減した」、代わって大道芸や音楽イベント、教室などが増加していると指摘する。
集客や売上についてはテナント自身の頑張りが不可欠だが、これについて「当然自己責任である。だが、運営会社は必要な情報を出してくれない」として、集客の減少でなく、透明度の低下が最大の問題であることを指摘している。
<守秘義務を理由に販促費公開せず>
トリアスでは競合店対策として、全テナントが入会するオーナー会とは別に、3つのゾーンの独立した販売促進委員会があった。それが、10年11月より1本化され、デベロッパーの販促費と合算されることになった。旧運営会社(株)トリアスは、一本化の推進について「ラサール側の意向もあったし、煩雑な作業の簡素化を考えればテナントさんにもメリットがあると感じた。もちろん従来通り情報公開するつもりだった」として、テナントとの覚書き締結に奔走した。
ところが、11年春より(株)トリアスは運営委託契約を解除された。新しい運営会社は、販促費の明細を開示することはなかった。これについて今年6月に開催されたオーナー会役員会で、あるテナントは、合算された販促費をいったん清算することと、販促費の明細を公開することを提案した。
これに対して運営会社は「以前のように棟ごとの販促となることで、施設全体としてメリットはないと考えます」として、かつての方式に戻すことを事実上拒否。合わせて、全体販促費用の開示も守秘義務上できないとしている。守秘義務とは何に対するものなのか・・・
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