みずほ銀行は、金融庁が「問題融資」を指摘してから1週間後の今月4日になって、初めて記者会見を行ない陳謝した。
金融庁は9月27日、みずほ銀行が系列のオリエントコーポレーション(オリコ)を経由した暴力団員らへの融資を放置してきたとして、業務改善命令を出していた。
それを受けて、みずほ銀行は速やかに佐藤康博頭取(みずほFG社長兼務)自らが問題の経緯を説明し陳謝すべきであったにもかかわらず、その日の夕刻に日銀本店(東京都中央区)の記者室を訪れたのは広報担当者で、概略をまとめた文書を配ったものの、記者から詳しい経緯を質問されて「答えられない」と繰り返す対応しかできなかった。
29日になって記者団の取材に応じた佐藤頭取は、「(自身に)責任がないとはいえない」と述べるにとどめ、真相の究明に触れる姿勢は示さなかった。
翌30日、みずほフィナンシャルグループ(FG)は取締役会議を開催し、それまでコンプライアンス(法令順守)担当の小池正兼常務取締役を更迭し、新たに辻田泰徳みずほFG代表取締役副社長、岡部俊胤みずほ銀行代表取締役副頭取の2名に担当替えしていたが、公表していなかったことも判明。
この問題がマスコミに大々的に取り上げられる深刻な事態となった今月4日、佐藤頭取は急遽部店長会議を開催し、「全員で襟を正してやり直そう」と訴えていたこともわかった。
この一連の動きから見ると、ちょうど政府が10月1日に消費税引き上げを決断するとの報道が国民の関心を集めており、みずほ首脳は、「問題融資」は大きな話題にはならないと考えていたのかもしれない。しかし、マスコミがこの「問題融資」を連日報道するに至り、急遽その火消しをせざるを得なくなったというのが真相だろう。
事態の鎮静化を図るため、同日午後5時から、日銀本店(東京都中央区)で記者会見を開いたが、そこには佐藤頭取の姿はなく、説明に現われたのは新たに法令順守担当となった岡部俊胤副頭取(みずほFG副社長兼務)だった。
会見の冒頭、岡部副頭取は「認識が甘かった。心から深くお詫びする」と陳謝したうえで、「問題の融資を初めて把握した2010年当時の責任者は、上野徹郎副頭取だった。同氏が何らの対応策をとらず放置していた事実と、その後も法令順守を担当する後任の副頭取や常務らを含む計4人の担当役員すべてが問題を放置し、頭取ら経営トップに報告していなかった」ことを明らかにした。
また、「歴代の担当で引き継ぎはなされていた」と説明する一方、「OBへの聞き取りはこれからだ。今後、外部の専門家を交えた第三者委員会によって真相を究明する方針だ」と述べ、事態の全容解明がまったく進んでいない現状を認めるお粗末な記者会見となった。
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