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"聖火ランナー"として走りました!(前)~高橋憲行氏に聞く
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2013年10月 7日 07:00
2020年東京五輪「私の想い!」シリーズ

 日本時間の9月8日午前5時20分、IOC(国際オリンピック委員会)総会で、ジャック・ロゲ会長が「トウキョウ」と声を発した。それは、2020年夏季五輪の開催地が56年振りに東京に決定した瞬間である。現在日本中が歓喜にわいている。「私の想い!」を識者にきいた。今回は企画の達人、高橋憲行氏である。高橋氏は1964年の東京オリンピックにおいて、鳥取県代表の聖火ランナーを務めている。

<コンクリートをしっかりやる!>
 ――2020年東京五輪が決定しました。その瞬間に何を思われましたか。

 高橋憲行氏 とても嬉しく思いました。暗い話題が続いていた日本社会の中では久々の明るいニュースです。アベノミクスの第3の矢は悪くはありませんが、総花的でちょっと具体性に欠けていると感じていました。

takahasi.jpg 政府も、経済団体も、一般ビジネスマンも含めて「2020年東京五輪」という目標に向かって走って行けるようになりました。東京都試算で3兆円、民間試算で150兆円という経済効果の数字が出ています。そしてインフラ整備に、東京を中心に200兆円(10年間)の財政出動をやる話も出ています。京大大学院の藤井聡教授(内閣官房参与)は、「コンクリートから人へは間違い、コンクリートをしっかりやる」と言われておりますが、メンテナンスを考える点では当然です。

 日本のインフラはボロボロのものが山ほどあります。特に市町村管理の橋梁には崩壊の危険のあるものが万単位であるのではと言われています。戦後の昭和30年代、40年代に作られ、補強がされていないだけでなく、状況検査ができていません。いつ崩壊してもおかしくない橋梁などもかなりあると推測されます。最初は国の予算で作るのですが「運営は良きに計らえ」で市町村単位の責任になっています。県レベル以上のものは、比較的メンテナンスができていると思いますが、市長村単位では財政的に不可能なのです。

 いずれにしても「大胆な金融政策」(第1の矢)、「機動的な財政政策」(第2の矢)の2つは効果が出ています。第2四半期の4月~6月の修正値は年率で3.4%のGDPの伸びを示しています。実際はほとんど財政出動をしていませんので、異次元の金融緩和(円安効果)だけでこの回復を見せたことになります。本格的に財政出動すれば、さらに大きな効果が出てくると思いますが、"真水"がどの程度かは、ちょっと計りかねます。

<中小や地方に厳しいアベノミクス>
 しかし、手放しでは喜べません。アベノミクスは、金融と建設や不動産での巨額なお金が動き始めたことと、輸出型大企業の業績向上だけが中心です。東京の高額なマンションなどの流通が、昨年比で50%以上増えている割には、全体で3.4%と言う伸び率はとても小さいと感じています。

 この点は地方に行くとよくわかります。地方経済はアベノミクスの恩恵をまったく受けていません。小金を持っている富裕層には、株や証券を通じて恩恵はあるかも知れませんが一般の方には、ほとんどありません。
 そればかりでなく、円安で燃油や原材料は高くなっており、さらに今後、消費税や郵便料金が上がっても、中小企業は価格に転嫁していくことはできません。中小企業や地方経済には、アベノミクスはとても"キツイ"ものになっているのです。その点だけから言えば、アベノミクスは格差社会を加速させ、中小企業がバタバタ倒産していく可能性も秘めています。

 ところが国民の雰囲気は"まあ、いいか"となっています。オリンピック景気の名のもとに、実態とは別に、その方向に引きずられていくことになります。全体として、いい方向に向かっている気はしますが、引き続き、しっかりウオッチしていく必要があります。

(つづく)
【金木 亮憲】

| (中) ≫

<プロフィール>
takahasi_pr.jpg高橋憲行(たかはし けんこう)
(株)企画塾 ・総合企画研究所 代表取締役
京都工芸繊維大学大学院修了。商品企画、新事業、マーケティングの分野で多数のプロジェクトに関与、並行して官公庁、自治体のプロジェクトを数多く手掛ける。現在のビジネスを進める上で必要不可欠な企画書のスタイルと体系をつくり、広く影響を与えたことから、「企画の達人」とも「企画の仕掛人」とも呼ばれる。京都工芸繊維大学講師、近畿大学講師、各地の自治体顧問を歴任。公的コンサルタントとして、関西文化学術研究都市の一角を占めるハイタッチリサーチパークを構想から実現まで関与。中華民国企画人協会顧問。企画関連の著書は100冊を超える。


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