みずほ銀行による問題の融資は計約230件、2億円以上。融資は「提携ローン」として実施され、自動車などの購入者は信販会社と契約。信販会社が客を審査し、みずほ銀は提携する信販会社を経て融資するが、審査や融資後の対応を信販会社任せにしていた。
ある金融関係者は、「問題の背景には旧・第一勧業、富士、日本興業の3銀行出身者の垣根意識がある。今回問題となった暴力団などの反社会的勢力の自動車ローンを取り扱った信販会社のオリエントコーポレーション(オリコ)は、第一勧銀の出身者が歴代社長を占めており、その「縄張り意識」が、別の旧行出身者の経営トップに報告が伝わらなかったのがその大きな要因」と語る。
オリコは2007年3月期の決算で、過払い金利返還の引当金の積み増しなど4,000億円を超える処理費用が発生し債務超過に陥るため、みずほ銀行や伊藤忠商事に支援を要請。
ちょうどみずほ銀行頭取は第一勧銀出身の杉山清次氏であり、オリコ社長の上西郁夫氏も同じく第一勧銀出身で、共に東大出身者であった。
みずほ銀行の支援を受けて倒産の危機を回避した上西社長は、責任を取って退任したものの、政府の要請を受け、赤字で悩む独立行政法人都市再生機構(UR)再建のため理事長へ転出している。
このようなことから見ても、一般の中小企業が融資申し込みをする場合の厳しい審査と違い、身内のオリコが取り扱う暴力団などへの反社会的な勢力への融資である「提携ローン」は杜撰であった。金融庁による業務改善命令は起こるべくして起きた問題であり、みずほ銀行特有の悪しき体質が露呈した証拠かもしれない。
2.オリコ歴代社長
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