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濱口和久「本気の安保論」

日本・台湾の懸け橋となった児玉源太郎(後)
濱口和久「本気の安保論」
2013年10月 8日 07:00
拓殖大学客員教授 濱口 和久

 児玉源太郎は明治36(1903)年1月、郷里の徳山に私立「児玉文庫」を開設している。前年の孝明天皇の皇后英照皇太后の葬儀の重責を果たして皇室から下賜された金一封に私費を足して、図書購入の資金とした。有志の寄贈や、旧徳山藩校興譲館の蔵書を受け継ぎ、青少年の育成と郷土文化の向上にも尽力し、最終的には蔵書も4万冊を超えた。(残念ながら、大東亜戦争における徳山空襲で、すべて焼失している。)

<日露戦争での活躍>
 一方、児玉は東郷平八郎、乃木希典らとともに日露戦争の英雄としても有名である。日露戦争全体の戦略の立案、満州での実際の戦闘指揮、戦費の調達、米国への講和依頼、欧州での帝政ロシアへの革命工作といったあらゆる局面で活躍した。
当時のロシアは常備兵力で日本の約15倍、国家予算規模で日本の約8倍という当時世界一の超大国であり、日本側にとって圧倒的不利な状況であったが、それを覆して日本を勝利に導いた功績は高く評価されている。

 また、「児玉ケーブル」といわれる海底ケーブルを日本周辺に張り巡らしたことで、日本の連合艦隊は大本営と電信通信が可能となった。現代戦で最も重要といわれる情報のやり取りを迅速に行なえるようになったことが、日本海海戦の大勝利へと繋がる要因の1つであったといわれている。児玉は日露戦争勝利のために全身全霊を消耗したため、日露戦争の翌年、明治39(1906)年7月に脳溢血のため55歳で急逝した。

<台湾から集まった建設資金>
 最後に、いかに児玉が台湾の人たちに感謝され、慕われていたかを物語るエピソードを紹介したい。
児玉の死後、江ノ島に「児玉神社」を造ろうとした際、予算11万円に対して、集まった金額は僅か3,000円しかなかった。このことが台湾に伝わると、残りは2週間で集まったという。この史実からも、児玉の台湾での功績の大きさをうかがい知ることができるだろう。

(了)

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【参考文献】
明治「時代と人物」研究会『日露戦争 明治人物烈伝』(徳間書店)
日本博学倶楽部著『日露戦争の人物がよくわかる本』(PHP研究所)

<プロフィール>
hamaguti_p.jpg濱口 和久 (はまぐち かずひさ)
昭和43年熊本県菊池市生まれ。防衛大学校材料物性工学科卒業。陸上自衛隊、舛添政治経済研究所、民主党本部幹事長室副部長、栃木市首席政策監などを経て、テイケイ株式会社常務取締役、国際地政学研究所研究員、日本政策研究センター研究員、日本文化チャンネル桜「防人の道 今日の自衛隊」キャスター、拓殖大学客員教授を務める。平成16年3月に竹島に本籍を移す。今年3月31日付でテイケイ株式会社を退職し、日本防災士機構認証研修機関の株式会社防災士研修センター常務取締役に就任した。『思城居(おもしろい)』(東京コラボ)、『祖国を誇りに思う心』(ハーベスト出版)などの著書のほかに、安全保障、領土・領海問題、日本の城郭についての論文多数。5月31日に新刊「だれが日本の領土を守るのか?」(たちばな出版、現在第4版)が発売された。 公式HPはコチラ


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