<拠点都市の機能を発揮し持続的な経済発展を>
――都市の人口が増加してきているということは、消費人口、生産人口の拡大につながり、単純に考えると都市の規模拡大へと直結していくように思われます。今後の福岡経済界の発展については、どのようにお考えでしょうか。
末吉紀雄氏(以下、末吉) 人口増が経済発展にとって大きな利点であることには違いありませんが、グローバル化や少子高齢化、価値観の多様化が進展するなか、それらの課題に対応していかなければなりません。
福岡は、地理的・歴史的な利点を背景に、アジア地域との人的・物的交流が近年ますます活発になってきています。「アジアの拠点都市」としての存在感がさらに高まっており、今後、さらに大きな成長が期待できます。そのため、成長著しいアジアとの連携を強めて長期的な協力関係を築き、アジア地域の需要を積極的に取り込んでいくための活動を続けていくことが重要となります。
しかしながら福岡は、空港でも港湾などでも、アジアの各都市に後塵を拝してしまっています。このままでは日本は置いてきぼりになり、競争力が低下していくことが懸念されます。
今後も拠点都市としての機能を発揮し、持続的な経済発展を続けるためには、空港の拡充、港湾設備の強化、大規模展示会が開催できるような大型コンベンション施設の整備など、アジアと日本の30年・50年先を見据えた国際拠点都市としての街づくり・インフラ整備が必要になってくるでしょう。
――そのなかで、福岡商工会議所はどのような役割を担っていかれますか。また、そのために、どのような施策を打っていかれますか。
末吉 福岡市は、市内総生産の約6割を卸売・小売業、サービス業で占めており、事業所数の4割強が卸売・小売業、飲食業となっています。こうした福岡市の産業構造を見ても、人の集積とそれにともなう消費の促進が、福岡の発展・成長にとって大変重要であると言えます。
たとえば、「福岡アジアコレクション(FACo)」があります。FACoは本年で5回目を数え、市民に定着するとともに内外にアピールされており、街のブランド形成の一役を担っています。今年はさらに、FACoを1日限りのイベントだけで終わらせるのではなく、FACoを中心とする前後1カ月間を「ファッションウィーク福岡」とし、商業施設と連携して期間を通じてファッションで街を盛り上げる取り組みを行ないました。こうした取り組みの積み重ねが街を明るくし、集客促進や消費喚起、さらに商工業者の活性化にもつながるという好循環を生んでいくでしょう。
一方で、先に述べた通り、空港、港湾をはじめとした「街づくり」も重要な課題です。
たとえば、福岡空港の問題があります。KLMオランダ航空による欧州直行便の開設に例を見るまでもなく、福岡・九州と国内外との交流を支える基盤として、福岡空港が十分にその役割を果たすことが期待されています。
しかし、福岡空港の2012年の発着回数は、円滑に発着できるとされている14万5,000回を超え、過去最多の14万9,000回(ヘリコプターを除く)に達しました。そのため、朝夕の時間帯においては、航空機の混雑や遅延が常態化し、また需要の多い同時間帯での新規就航や増便は難しい状況となっています。航空需要があるにも関わらず空港容量の問題で就航できないことになれば、地域活性化の機会を逃すことになってしまいます。
そうならないためにも、一刻も早く滑走路増設等の整備を実現させるため、「福岡空港滑走路増設等整備促進期成会」を5月に設立しました。期成会では、早期整備に向けた機運を高めるとともに、国・行政等に工期短縮や予算確保などの要望を行なっていきます。
商工会議所としては、引き続き、地域や会員のニーズを踏まえた活動を継続的に実施し、成果を上げるように取り組みます。
<プロフィール>
末吉 紀雄(すえよし・のりお)
1945年、福岡県生まれ。67年に西南学院大学商学部卒業後、日米コカ・コーラボトリング(株)(現コカ・コーラウエスト(株))入社。2002年に代表取締役社長兼CEOに就任。10年1月より代表取締役会長。2011年11月に、福岡商工会議所会頭に就任した。
※記事へのご意見はこちら