現在の証券優遇税制(約10%)が2013年で終了し、来年からは約20%に引き上げられる。そこで大きな注目を集めているのがNISA(ニーサ)。NISAとは2014年からはじまる「少額投資非課税制度」のこと。NISAを利用すれば、100万円までの投資に関してはいくら増えても税金はかからない。ただし非課税期間は5年で、どの金融機関を利用しても1人1口座までなど、いろいろな制約がある。福岡市で株式投資の学校を運営するライズ株式スクールの浅野誉士氏にNISAについて聞いた。
――しかし、制度自体は非常にわかりやすいものになっていると思いますが。
浅野誉士氏(以下、浅野) NISAの説明では、100万が200万になり、運用益が100万出るというパターンをよく見かけます。確かにわかりやすい説明ですが、倍額になる銘柄を選定するのは至難の業で、さらにそれを売りきる能力がない限り、現実的ではありません。わかりやすい、得しそうなイメージだけ先行させ、儲かる前提で話が進んでいます。特にNISA利用のターゲットになるのは株式の初心者。初心者は株で儲ける難しさを知らない。最低限、銘柄の選定眼は必要です。しくみ自体は非常にわかりやすく、巧みに作られたものですが、今回のNISAについてはネガティブに捉えています。
――それでは、あえてどのような投資家なら、NISA向きでしょうか。
浅野 投資資金が100万円以下で、中長期の投資を考えている人。しかも5年以内で決済する、売買の技術を持っている方。このような方だったら、いいかもしれません。
――今後、この制度はどのようになると思われますか。
浅野 おそらくこの制度を利用する人は殺到するでしょう。景気対策やオリンピック需要もあり、株価は上向き基調ですから、スタートして間もなくこの制度も上向きで始まると思います。しかし、好調はいつまでも続きません。それは歴史が証明しています。下落のサイクルが必ず来て、株価は下がるでしょう。その前に売り切る技術が必要です。初心者がすぐに利益を出せるほど甘くはありません。
浅野氏は最後にこう締めくくった。「NISA導入の話が出ても、投資を学びたいという問い合わせは少ない。つまり、多くの方が気付いていないんです。利益を出して初めてこの制度の意味があることを。」
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・金融庁 NISA推進・連絡協議会(PDF)
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