7日、国際機関日本アセアンセンター、ラオス計画投資省主催の「ラオス経済・投資セミナー」が都内の東京商工会議所で行なわれた。ミャンマーなどに次ぐ魅力的な投資先として年々、注目度が上がっているラオス。次の生産拠点の候補地として進出を検討している日本企業も多く、多くの企業のアセアン担当者らが集った。ラオスからはソムサワート副首相(経済担当)、ソムディ計画投資省大臣らのチームが訪れ、日本企業からの投資促進に熱弁を振るった。
ラオス計画投資省の上級顧問として、現地で活躍する鈴木基義上級顧問は、日本からの投資獲得に向け、日本企業が投資、進出する拠点としてのラオスの魅力と弱点を語った。
<点ではなく面で見る>
ミャンマー(人口約6,495万人)、カンボジア(人口約1,541万人)に比べると、ラオス(人口約647万人)には、人口が少ないというスケールでのデメリットがあるものの、それを埋めるだけの利点は多い。
まずは、東南アジアの中心的な位置にあるという地理的なメリット。ラオスは、タイ、中国、ベトナム、ミャンマー、カンボジアと国境を接しており、東南アジアを点ではなく、面として見た場合、その真ん中にあるラオスに拠点を持っておく利点はある。
JICAの専門家として1990年にラオスに赴任して、約23年間、ラオスの経済発展に尽力してきた鈴木基義上級顧問。中国、韓国などに後れを取っている日本企業からのラオスへの投資促進に力を注ぐ。鈴木氏は、タイ、中国などに第1工場を置いておき、ラオスの経済特区に第2工場を持つことを推奨する。メコン地域で相互に補完し合いながら、国際分散型の拠点の運営方法を取ることで、自然災害などのリスクに柔軟に対応できる。
隣国のタイと経済的にも密接な関係を持つラオス。タイの首都バンコクから経済特区のあるラオスのサワンナケート県まで約670kmと距離的にも近く、タイとラオスの言語も、それぞれで共通点が多い。人件費はタイの約4分の1。安価な労働力が確保できる。
<タイ・プラスワンとして>
東南アジアの生産拠点として隆盛だったタイでは、現在、人件費が高騰し、多くの企業が、ミャンマーなどに次の拠点を移そうと模索している。多くの日本企業の目は人口メリットのあるミャンマーを向いているが、ラオスも選択肢の一つ。「タイ語とラオ語は70~80%、共通しているので、タイに工場を持っている企業の第2の拠点として、ラオスを推奨したい。ラオスの人はタイ語を話せる人が多いので、ラオス人の労働者を研修する際などに、タイ人の研修リーダーが一役買ってくれる。タイに第1工場を持っている企業の場合、言葉、コミュニケーションの障壁が少ない」と、鈴木氏は、タイ・プラスワンとして進出する利点を説明する。
実例として、タイでローン事業を展開している日本企業が、コールセンターをラオスに移して成功したという例がある。ローンの返済などを催促する際に、ラオスのコールセンターをうまく活用。タイとラオス両国で効率的に業務を展開し、業績は右肩上がりだ。
タイにすでに拠点を持っている企業だけでなく、新たに進出を検討している企業にもラオスの自然を生かした農業に関する有機栽培、農産物加工の分野などに商機が埋もれている。
| (中) ≫
※記事へのご意見はこちら